人と猫の夏と秋
スーパーへの買い出しは、二日くらい「そろそろスーパーに行かないと死ぬ」と思い詰めてから行く。
私は基本的に外に出るのが好きじゃない。猫と暮らし始めてからは余計にだ。
そんな人間が主を務める我が家では今日もバチコリ冷房が稼働している。いや〜窓を開けていてもなんか暑いよね〜、と猫に話しかけて冷房をつける。猫の健康を盾にすると9月末でも冷房にありつける。言ってる間に10月になった。
昨晩「いよいよ晩ごはんがない」と、重い腰を上げてスーパーまでチャリを漕いだら、駅前を歩く仕事帰りの人達が軒並み長袖を着ていてめちゃくちゃ驚いた。サラリーマン全然スーツ着てる。女性もジャケット着てる。高校生に至ってはセーターとかカーディガン着てた。半袖にNIKEの厚底サンダルの私だけが夏に取り残されていて、結構恥ずかしかった。ミュールを履いているお姉さんが1人だけ居たのが唯一の心の拠り所だった。
秋生まれの私が迎える秋はもう何十回目かで新鮮みなんて欠片もなく、季節の変わり目なんて風邪をひくきっかけでしかないし、こうやって前の季節にも平気で取り残される。
一方、そんな人間の隣で日々を暮らす子猫は夏生まれ。これが初めての秋。夜に窓を開けるとキョロキョロと様子を伺うような動きをしてひとしきり網戸を登りまくって怒られた後、窓の前にぺしょっと座って外を眺めるようになった。
夏には「猫って外を眺めるのが好きって聞いてたのに小夏(※弊家の猫)は外に興味がないのかなぁ、全然外なんて見てないなぁ」なんて思っていたのに、今は外の空気に鼻をふんふんさせて心なしか初めての秋の空気を楽しんでるように見える。そんな猫の身体を撫でたらつやつやの毛の先がちょっと冷んやりしていて、「これが猫飼いの秋かぁ」なんて思った。
母さんうっかりアンタに"小夏"なんて名前をつけてしまったけど、秋のが好きなのかもしれないね。でももしかしたらこの先季節が変わるたび同じことを言うかもしれないし、「やっぱりアンタは小夏だったわ」となるかもしれない。なにはともあれこれから小夏と四季を過ごせるのが嬉しいよ。できるだけ長く一緒に暮らそうね。
母さんは季節の変わり目に弱いから、冬にぽかぽかの君と一緒に寝ることを楽しみにしてこの秋を生き伸びていくことにするよ。