燃ゆるもの
夏子の冒険、を読んだ
三島由紀夫による、わがままで美しい令嬢の冒険譚、それともこれは恋愛小説?
三島由紀夫の著作を読むのは
この作品が初めて
本当は金閣寺を読もうと
勇んで本屋に寄ったのだけれど
日和ってしまいまして
娯楽要素の強そうなこちらの作品に
落ち着きました
夏子お嬢さまに知られたりしたら
ため息吐かれそう
夏子は何を探していたのか
断言されていないから
それは読者の想像に任されたものか
彼女は誰かの燃えるような想い、意志に
添い遂げることで
自らも燃えた気になっていた
それだけなのかもしれない
きっと彼女のお眼鏡に叶う強い意志、とやらも
そう多くはないでしょう
それならば、自らが燃えてしまう
それが一番手っ取り早いのではないでしょうか
意志を燻らせたまま修道院に
蓋をされゆく彼女のその後も
また読者の想像に任されたのだろうか
それとも修道院に向かうのは
私達読者そのものなのかもしれない
命懸けで生きた三島由紀夫からの
まだコミカルな警告の鐘が
北海道の何処かの修道院から
夏の終わりと共に運ばれてきては消えていった
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