テレビの音量24
父が1ヶ月半だけお世話になった特養の施設から、テレビを持って帰ってきている。
急に特養に移れることになったから(確か報せを受けてから実際に移動するまで5日間くらいしかなかった)、テレビも慌てて買いに行ったんだよね。
その前に入っていた老健では見もしないテレビを夜中もずっとつけっぱなしで、一日16時間くらいテレビつけてる計算で、テレビカード代がかさんでかさんで、病みそうだった。
だから特養に移るとなって真っ先に準備しなきゃ!と思ったのがテレビ。
100分間1,000円のテレビカードに比べれば、テレビ本体買ったってそのうち元は取れるからって、特養に移動するその日の朝10時から家電量販店に行って、手で持って帰ってきてそのまま特養に直行した。
結局、1ヶ月半ほどで再び入院。そこから特養にも家にも帰れずに亡くなったから、元なんか取れなかったね。でもその1ヶ月半の間だけは、個室で音量も時間も気にせずテレビつけてられただろうから、それは良かったのかな。どうかな。
持って帰って来たテレビ。長らく、3ヶ月以上放置していたけど、母の寝室のテレビがもう古いし小さいから、こっちを使おうってことで今日設置した。
配線替えるだけだからものの10分くらいで済んだ。どれ、ちゃんと映るかなーと思って電源を入れる。画面が映る。音が出る。
「……音でっか!!!」
思わずつぶやいて音量を下げた。音量24から16へ。寝室で寝る直前に少し見たりするくらいだから、そんな大きな音いらなーい。
音量24。後から気づいた、その数字も、父がこの世界にいた証拠のひとつだった。
すぐ下げちゃったけど。せめて数値を覚えていてよかった。
たぶんこんな出来事すぐに忘れてしまうから、ここに記録。
家でも病院でも特養でもテレビばっかり見ていたうちの父は、耳が悪くて無駄に音量をでかくする人だった。
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