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じゃむパンの日 / 赤染節

赤染晶子さんの芥川賞受賞作「乙女の密告」は未読だったのですが、赤染晶子さんは2017年に早世なさり、生前残された作品はほんの僅かです。。
一昨年末に、彼女の編集者だった方が、エッセイを纏めた本を出版しました。「じゃむパンの日」。ネットニュースで見かけて取り寄せました。編集者の方が「赤染晶子という作家を忘却の彼方に追いやりたくない」と願ったことがとても理解できました。凄く面白い。ユーモアがあって皮肉屋だけど、かなり繊細な方だと想像出来ます。エッセイなのに小説のよう。どこまでがノンフィクションでどこまでがフィクションなのか。はたまたこんな不思議な可笑しげな日々を過ごしていたのか。脚色がうまいのか。読書は亀の遅さの私が一気に読んで、さらに「乙女の密告」「初子さん」「うつつ、うつら」「wanted かい人21面相」「恋もみじ」「少女煙草」と読み進めました。この6作品しか今現在は赤染晶子という作家の作品を読む事が出来ません。短編であるのと、作品の中で流れるように繰り広げられる赤染節が私の肌に合っていました。。
「トイレ」を「便所」と言っています(笑)けれど決して下品にならないのが不思議です。
描きたかったのは恐らく「恋」です。宝塚のファンだったかもしれないので、だとしたら「ときめき」も。
そんじょそこらの小説の、薄っぺらい恋ではありません。「血を吐くような」思いがページの中を流れて行きます。。恐らく闘病なさっていたのだと思うのですが、闘病日記みたいなものは書きたくなかったのだろうと思います。その代わりに小説に登場する少女たちや老嬢は、命懸けの恋をします。

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