夏の終わり
夏の終わりを感じること。
自転車を漕いでいる時、頬に当たる風がひんやりとすること。
セミの声に混じって鈴虫の声が聞こえること。
そのセミの声もツクツクボウシの声になっていること。
葉の緑色が心なしか薄くなっていたこと。
弟が朝早くに起きて学校へ向かったこと。
ひっくり返っているクワガタを助けたら次の日に死んでいたこと。
夏は暑くて汗もかくしメイクも落ちる。
巻いた髪は一瞬でとれる。
虫刺されのせいでショートズボンは履けない。
吹いている風は熱風なのに空調の風は人工的で。
買ったペットボトルは鞄の中でびしょびしょになるし。
夕立で新しい傘を何本か今年も買ってしまった。
サンダルは靴ずれして痛いし。
日焼け止めは高いのがいいとか贅沢して。
夏を感じることは一個もできてないくせに終わりばっか強調されて。
カレンダーを昨日めくった。
あーあ。
私の、私の二十歳の夏が終わってしまった。
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