就労センターあっぷ施設長 城崎高治さんインタビュー【第1回】「この指とまれ」やりたい人が中心になってみんなでサポートする体制
広島市の中心部から車で1時間ちょっと。県北部に位置する安芸高田市は、22もの神楽団が活動する神楽の里としても知られています。歴史があり、自然豊かな安芸高田市に根を下ろす「ひとは福祉会」の事業所のひとつ「就労センターあっぷ」(以下、あっぷ)の施設長・城崎高治さんにお話を伺いました。
▶ ひとは福祉会
ひとは福祉会は、障がいのある仲間たちともに、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために設立されました。
http://hitoha-fukushi.com/
お話を伺った場所は、個性豊かなアートグッズが生まれる「3番のりば」。城崎さんへのインタビューと一緒に、3番のりばの中の様子も是非お楽しみください。
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前回、見学に来たときに、今、あっぷで行われているアート活動は、現場スタッフの二宮さんからの「やりたい」っていう声から始まったというお話を伺って、それってひとはならではなんじゃないかと思ったんです。今日は、その辺りのお話から聞かせてもらえないでしょうか?
城崎さん
そうですね、僕がひとはに入ってから約20年くらい経つんですけど、もともと、営業の仕事をしていたんですね。身体を壊して、もう辞めんと無理だなっていうときに、たまたま、ひとはの入所施設が4月からオープンしますっていうときで、募集があったんですよ。
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はい。
城崎さん
僕はぜんぜん福祉の経験はなかったんですけど、家から近いということもあって、親も受けてみたら?っていう感じで。で、入ったときに、正直右も左も全然わからなかったんですね。
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未経験でのスタートですもんね。
城崎さん
困りよったら、今の理事長が「グループの大将はお前なんじゃけえ、まずはお前のかんがえるようにやってみぃ」って自由にさせてくれたんですよ。「何かあったらすぐ相談しろ、その代わり、好きにしていいから」って。とにかくやってみなさいっという感じで、かなり自由にさせてもらいました。
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自由に。
城崎さん
そのときすごくやりやすかった経験があるから、やっぱり同じようにしたいじゃないですか。「これをやりたい」って言ってきたら「じゃあ、まずはやってみましょうや」っていう風にやりたい。利用者さんもそうだけど、スタッフにとっても自分のやりたいことができる場にしたいっていうのがあります。
城崎さん
なので、二宮が5年くらい前だったかな?アートがしたいんだって話をしてくれたときも「やりましょう」って。ひとはでは、「この指とまれ」って言って、発案した人が中心になって、みんながサポートしていく雰囲気ができあがっているんです。
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この指とまれ、ですか?
城崎さん
はい。「それ面白そうじゃね、一緒にやろう!」みたいな感じで、どんどん色んな人とのつながりを増やしてやってきたところがあって。僕自身が色々やらせてもらって、達成感を得て、「あ、楽しい」って思えたのと同じように、現場のスタッフが発案したものを、その人が中心になってやってもらいたい。それが世に出て評価されるっていうのはスタッフの自信にもつながりますから。
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「この指とまれ」はどこの事業所でも同じなんですか?
城崎さん
そうですね。例えば、ひとはには、あっぷから車で15分くらいの向原町に「ささき亭」っていう食堂があるんですけど…ご存知ですか?
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はい、古民家を改装したような素敵なところですよね。
城崎さん
当初、地域に住まう高齢者の方の配食であったりとか、みんなが寄り合える拠点にしたいねっていう話があったんです。その話を職員の前でして「この事業やりたい人!」って聞いて、そこで手を挙げたひとが中心となって立ち上げたんです。
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へー!そうなんですか!
城崎さん
そうそう。
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あなたやりなさい…
城崎さん
じゃないです。「こういうこと考えてるけど、興味ある人は話聞きに来てね」って言って、その時5人くらいかな?聞きに来て。で「ぼくやります」、「じゃあ、任せた!」って。
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やりたい人がやるっていうのが原則なんですね。
城崎さん
そうですね。その代わり、やるって決めたらみんなサポートしようねって感じで。
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そこがいいですよね。じゃあお願いねって投げるんじゃなくて、サポートしようねっていう雰囲気があるんですね。
第2回 障がい者支援施設が地域とつくる「お互い様の関係」につづく