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第3回 花の取り組みと、みっちゃんとなおちゃんの自信を持って伝えたいこと|就労継続支援B型事業所ぽんぽん所長 鰐川華衣さんインタビュー

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リサイクルや内職の仕事を徐々に減らしながら、少しずつアートを社会に出していく中で、花の仕事もしていったそうですね。

鰐川
日常的に柱になる作業がないと、収益につながらないし、みんなのやることないっていうのもあって、試行錯誤している中で花と出会いました。

花もね、横から横に流れる作業ではなくて、種から育てて生み出す作業なので、これはいいねって。みんなにとっても、種から芽が出て、花が咲いて、売れるっていうわかりやすさがあって良かったんだと思います。

野呂山学園という施設が、当時から花に取り組んでらっしゃって、呉まで通って、土作りから教えてもらいました。

野呂山学園
広島県の呉地区初の知的障がい者の入所厚生施設として設立。就労支援の一環として、花苗を年間30万ポット生産・販売を行っている。
http://www.norosangakuen.or.jp/

最初は中庭にベニヤ板を敷いて、その上に花のポットを置いて。設備って言っていいのかな?っていうくらい簡易な設備で始めました。でも、それだと虫もつくし、温度管理ができないとたくさん作れないので、貸してもらえる土地を探して、助成金取って、ビニールハウスを立てて。そうしているうちに、花とアートがだんだん中心になっていったのかなぁ。

スライド6

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アートも花も、本当に全部ゼロからやってるんですね!

鰐川
ゼロからですね。(笑)

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もう一度言っちゃいますが…本当に、ゼロからここまでやってこられたと知って…もう、びっくりです。(笑)

鰐川
花はね、教えてもらってはいるけど、やっぱり地域が違うと、やり方も当然違って。野呂山学園は山の上で涼しいからこの条件でも芽が出るけど、ぽんぽんのある安佐南区は暖かいから同じ条件では芽が出ないこともやっていくうちにわかってきて。そうすると販売時期も、販売方法も変わってくるので、結構大変だったなぁ。(笑)

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はい、お話しを聞いているだけで結構大変そうです。(笑)

鰐川
学校にも営業に行きました。学校の花壇に使えませんか?って。でも学校の花壇って、一気に注文がきて、一気にいっぱい持って行かなくちゃいけなくて。

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これまた大変そうです。(笑)

鰐川
大変だったけど、花の植え替えに行かせてもらえたり、配達に行かせてもらえたり、それはすごく良い経験でしたね。みんな花の配達が大好きでした。プランターの植え替えも、外の作業だから暑くて寒いけど、すごく頑張っていましたね。

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どういうところが良かったんでしょう?

鰐川
やっぱり、わかりやすさはあっと思います。例えば岡本美乃里(おかもと みのり)さん(以下、みっちゃん)は「ありがとう」って言ってもらえたり、「きれいだね」って言ってもらえることを喜べる人だから、そういうところが良かったんじゃないかな。喜びを共感しあえるというか、言ってもらったことに対して素直に喜べる、みっちゃんの性格もあると思います。

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「みっちゃん」こと岡本美乃里さん

地道な作業が性に合ったのは、佐野直美(さの なおみ)さん(以下、なおちゃん)かな。…あ!でもね、枯れた花を摘む「花摘み」の作業で、咲いた花まで摘んで丸坊主にしちゃったこともあるけど。(笑)

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「なおちゃん」こと佐野直美さん(左)

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そんなことが。(笑)

鰐川
一瞬青ざめるけどね。(笑)そういうこともあったけど、でも…全部楽しかったね、って今は思います。

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ふふふ。

鰐川
みっちゃんも、なおちゃんも、花の名前を一生懸命覚えて、この花はこういう花で、私たちが育てたんですって、お客さんにちゃんと伝えてることがだんだんできるようになって。そうしたらお客さんも「じゃあ、買おうか」っていう気持ちになってくれる。

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彼女たち自身から出る言葉ってすごく力がありますね。

鰐川
わたしだったら、あんまり言っちゃいけんかな、見てくれているのを邪魔しちゃいけんかなって遠慮してしまうけど、彼女たちは「これ私が作ったんです」って自分から言いに行って、一生懸命話をするんで、あれはすごい力だなぁと思いました。

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お客さんに自分から話しかけて、説明をできるようになったんですね。

鰐川
でね、それができるようになってきたら、アートグッズを売りに行っても、みっちゃんやなおちゃんは、自分のものじゃなくても一生懸命説明をして、どうやってできたかみたいなことを伝えようとする姿があって…あぁ、この人たち本当すごいなあ、よう見とるなあって思うようになりました。この商品は誰の作品を使っているかっていうのも、よくわかってて。営業部長じゃあって。(笑)

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わたしもイベント販売に二人と行ったことがあるって、ちゃんと商品をアピールできるというか…アピールというか本人たちが良いと思ったことをしっかり伝える姿がありましたね。

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鰐川
そうそう、素直に自分がすごいと思っていることを伝えるから、周りも「そうなん」「そうなん」って聞いてくれるっていう。

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それができるようになったのは、花があったからなんですね。

鰐川
花で、自分たちが作ったものを伝える経験があったからだと思います。花の販売にアートグッズを持って行き始めた頃「お客さんに説明できるようにならんといけんね」って話をしたら、彼女たちは一生懸命覚えて。

持って行く商品も、何があるかをちゃんと見て、これを待っていくんだって自分たちで把握して。その辺りから、花もアートも関係なく、ぽんぽんの製品は私たちが伝えなきゃっていう思いが出てきたのかな。みんなを代表して売りに行くんだっていう意気込みがね、やっぱりあると思います。

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その意気込みを感じますよね。

鰐川
花とかアートとか、色んなものを通して社会に出ていくことで、経験をいっぱい積んで、自分たちが自信を持って伝えたいことも心の中に芽生えてきて…それを表現することができるようになりましたね。

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konkon
障害のある"人の魅力"を伝えるために①障害福祉サービスの商品販売、②作品展企画、③常富芳香さんマネジメント等広島を拠点に行っています。
ひとりでも多くの方に「こんこん」と気軽にノックしてもらえますように。
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