“自分をアピールする”のが苦手だった。

英語圏で働いていると、語学力とは別にぶつかる壁が幾つかある。
その一つが“自己アピール”である。
小さい頃から、褒められる教育を受けている人間と、
○歳なら掛け算できないと、この漢字は読めないと、困りますよ、
と言われながら育った人間には自分の事を説明する際にも違いがある。

日本で働いていた時も、人事効果を書くときに、
やるべき仕事をこなしたけれど、それ以外何か書くほどの事を私はしただろうか…。
と、途方に暮れた記憶がある。
英語圏で、自己アピールのプロたち(に見えて仕方ない)に囲まれるなか、
自分で読んで恥ずかしくなるような文を何度も書いては消し、
これが無くなるのなら仕事辞めてもいいかも…なんていう気さえ起こしたこともある。

言語としての英語は、知らない単語や言い回しを覚えれば問題解決するが、
物事の見方や身に染みついた習慣は変えるのに時間がかかる。

以前に上司にこんなことを言われた。
“人事効果では形容詞を使わない”

どういうことかというと、
私は今期“一生懸命頑張った”、“良い結果をもたらした”、“素晴らしいサポートをした”、などだ。
“一生懸命”、“良い”結果、“素晴らしい”サポート。
これらの度合いは個々人によって変わってくる。

ではどうすればいいか。
代わりに、何を、いつ、どうやって、結果として何をもたらしたか、
を書くのだ。
“困難があったけど、乗り越えた”ということを書きたければ、
“〇〇がXXの理由で予定通り進まず、期限内完了か困難に思われたが、
Aさん〇〇の3割を急所担当してもらい、無事期限までに完了できた”
のように、事実を書く。

そもそも自分を褒めちぎることが目的ではないのだ。

“自己アピール”という言葉を聞くと、
さらに褒め上手人間に囲まれていると、
言葉巧みに何か素敵なことを言わないといけない、と考えがちだし、
まずは自分が日々やってきた“事実のまとめ”から始めから始める。
そのためには、自分の日々やったことの記録が大切になってくるわけだが、
それはまた別の機会に。

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