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地方公務員の立場でピンホールマーケティングを考えてみる

おはようございます。
北海道で地方公務員をしています。

今回はピンホールマーケティングを地方公務員の立場で考えてみました。

ピンホールマーケティングは、特定の狭いターゲット層やニッチ市場に向けて集中的にマーケティングを行う手法のことで、通常のマーケティングが幅広い層を対象にアプローチするのに対し、特定のターゲットに対して効果的に働きかけるものです。
マーケティング手法ではありますが、地方公務員としては、地域や市民団体等から陳情、要望を受けることがあり、その陳情が本当に解決策になるのか疑問に感じることが少なくありません。
今回は、マーケティング理論の考えを、地方公務員としての地域や地域外のニーズへの考え方に当てはめてみました。

許容度は人による

自治体内においても地区ごとに異なる課題やニーズはあると考えますが、それらには規則性はないと感じます。

例えば、道路除雪の話では、同じ北海道内でも、さらに言えば各自治体内でも地理的条件が異なれば降雪量は変わりますが、道路除雪作業の実施頻度やきめ細かさは、降雪の多さに比例してニーズが高くなるわけではないと感じます。
雪が多くても住民が慣れていれば苦情は少なく、雪が少なくても住民の許容度が低いと、「家の前が除雪されない!」などの苦情が我々職員に吐き出されます。
あくまで、住民ニーズは"人による"という側面があります。

道路を管理する立場としては、住宅街ではなくバス通りなどの車が多く通る道路の方が需要が多いため、除雪作業も優先するのが合理的です。
住民からの苦情を直接耳にする地方公務員としては、自分達の役割を果たす必要のあるニーズの見極めが最低限必要です。

ヒントとなるデータは自治体にはある

行政運営のうえで基本的な指針となる総合計画が各自治体で策定されています。
これは定期的に改訂されていて、改訂の際には、住民の実感指標等を設けている個別目標に関するアンケート調査が行われることがあります。
こうしたアンケート調査結果には、多くの人が考えるニーズのヒントとなるニーズの傾向が示されるデータがあると感じます。

例えば、公共施設の利用に関して、住民利用が増えないのは施設内の設備不足が原因と疑っていても、アンケート結果では駐車場が狭いから入りにくいなど、想像とは異なるキーワードが多く示されることもありました。
個別のニーズは人によっても、傾向は何かを課題を表していて、そこにニーズのヒントがあると感じます。

本質を捉える想像力を鍛える

多種多様な業務をこなす地方公務員は、自分の業務範囲の話に限らず、直接の業務には関係ない話に触れる機会も少なくありません。
そうした困りごとを直接見聞きする立場にいると、人の困りごとは様々だなと痛感させられます。
そして、こうした住民との会話の内容や見聞きした情報にヒントはあると考えます。

陳情の内容が必ずしも本質をついていないこともあるため、陳情の目的と手段を分けて捉えないと、本質とズレが生じることがあります。
困りごとを見聞きした上で求められているのは、本質を見抜く力と想像力と考えます。
そして、こうした想像力は、現場を見て、考えることで養われていくと考えます。

地方公務員のサービス対象はニッチでもある

多種多様な業務があり、住民からの話を直接聞く機会が多い地方公務員は、多くの困りごとに接します。
基礎自治体の主な仕事は、国等が造った法律や制度に基づき全国横並びで行うものが多いですが、地方自治体の個別施策は、国の制度の隙間を埋めるニッチの側面もあります。
行政サービスの消費者に一番近い立場にいるからこそ、制度では対応できないもどかしい部分なども見えてくると感じます。
各現場の担当者が国の制度だからと諦めずに、ニッチを埋めることを考えて動く主体性が求められると考えます。

公務員の部署異動

ピンホールマーケティングでは、特定のニーズを見つけ、形にしていく過程が重要と考えます。
その過程で支障になるのが、定期的な人事異動でもあると考えます。
地方公務員は、早ければ2、3年で異動することになるため、事業を形にして軌道に乗せるまでの間に、その部署を離れ、担当から離れる可能性も高いです。
事業を形にしていくためには、時間がかかるものも少なくないです。
全員をゼネラリストに育てる異動の仕組みではなく、特定の事業には属人的に取り組めるようにしていくことも重要と考えます。

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