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想いは伝えられるときに

想いは伝えられるときに伝えたい。気持ちを伝えることが苦手な私が強くそう思った出来事があった。

それは数年前にジョン・フォックスが書いた「潮騒の少年」という小説というアメリカの小説を読んだときのことだ。

主人公のビリーは高校生で、選挙事務所で出会った大学生のアルに恋をする。ひとことで言うとアメリカのゲイの若者の青春小説だ。

私はこの小説に深く感銘を受けた。この人の本をもっと読んでみたい、感想を伝えたい。そう思った。

しかし後書きによると彼は1990年の8月にエイズで若くして亡くなったとあった。生まれが1952年なので39歳だった計算になる。

私にはそれがとてもショッキングだった。もっとはやく彼の本にふれていたら私は彼に感想の手紙を送ることもできたかもしれない。

遠い過去の人ではないのだ。それなのに届かない。そのことがとてもとても悔しかった。邦訳された作品は「潮騒の少年」一作きりだった。

だから私は伝えたいことは伝えられるときに伝えたいと強く思う。

「あなたが好き」
「あなたの作品が好き」
「あなたの歌声が好き」

出し惜しみなんてする必要ない。駆け引きなんて知らない。伝えられる瞬間は今しかないかもしれないのだ。今が最初で最後かもしれないのだ。

ならば大きな声で、または遠慮がちな声で、はっきりと伝えたい。伝えられるその瞬間に。

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