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お酒とセンスの関連について

お酒の話をしよう。
しかしエッセーの話でもあり、センスの話でもある。
ここまで読んだそこのあなた、お酒を飲めないからといって読むのをやめないでほしい。

エッセーが好きだ

「好きな本のジャンルは?」と聞かれると0.5秒で「エッセー」と答える。
そのくらいエッセーが好きだ。
小説等の作品を読んだことがなくても、その作家のエッセーだけは読んだことがある、というケースもしばしばある。
そのくらいエッセーが好きだ。

実際留学に行った時に持って行った本の5分の2はエッセーである。
書いてて思ったが、これは多いのか少ないのかよくわからない。
ただ、エッセーが好きなのは本当である。
信じてほしい。

「小説は人生が一度しかないことへの抵抗」のような話を聞いたことがあるが、エッセーはそのまま他人の人生である。
それを著者の言葉で原液で味わえるのである。
エッセーを読み続ける限り、私の頭にはたくさんの人間の並行世界が生まれ、私が生きている限りその世界は進み続ける。

5分の2のエッセー

さて、留学に持って行った2冊の話をする。
1冊目は向田邦子さんの「父の詫び状」だ。
初めて読んだのは10年以上前、小学生の頃。
私の地元の話がたびたび出てくることもあり、幼い頃から馴染み深かったからだろうか、作品やその名前も目にする機会が多かった。
(余談だが、Netflixで「阿修羅のごとく」をリメイクしている。見たい)

現代ではなかなか考えられないような父親像をはじめとした家庭環境ではあるが、その中でも、時代を超えても変わらない人間の普遍的な心の動きを描いている。
初めて読んでからほぼ毎年読んでいるのだが、読むたびに新しく感動し、見落としてたフレーズに気づいている。
あと深夜特急で知られる沢木耕太郎さんのあとがきも素晴らしい。
(深夜特急について話し出すとあと4000文字以上は最低でも必要なので割愛する)
なぜここまで思い入れがあるかというと、シンプルに読んでる回数が多いからである。
読んでる回数が多いと、読む度に新しい発見があるので一冊の中に何冊分もの厚みが出る。
無人島に何か持っていくならこの本を持っていくつもりである。
そして自分の人生を思い出しながら死ぬのを待つつもりだ。
うん、潔くてかっこいい。

もう1冊はオードリー若林正恭さんの「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」だ。

予備校時代、勉強の合間にエッセーを読んでいた(話の一つ一つが短いので休憩にちょうどいいのである。もしこのnoteを読んでいる受験生の方がいればぜひ参考にしてほしい。少なくともこのnoteを読むよりは有用である。)。
そこで初めて「社会人大学人見知り学部卒業見込」を読んだのだが、共感できすぎて首がもげるほど頷いてしまった。
予備校で一人で過ごしながら強烈に自我を肥大させていた自分にとって、この「社会人大学〜」はある種の救いの書のようなものだった。
そのまま晴れて大学に入学してリトルトゥースになり、若林さんのエッセーも全て読み、去年の東京ドームも行った。
そのくらい若林さんのエッセーには感銘を受けた。
ちなみに若林さんのエッセーは全て持っているがあえてこの作品にしたのは、単純に海外に行くからだ。
海外で紀行文を読むとどうなるのか、その実験である。
結果、何かあったといえばあったし、なかったといえばなかった。
特に書くほどのことはない。

お酒とセンス

そして本題のお酒とセンスの話である。
急に話が急カーブしたと思う人がいるかもしれないが、読み進めてほしい。

まず私の偏見として「お酒を飲まない(orお酒が得意でない)人はセンスがいい」というものがある。
ここでの「センスがいい」は100%私の主観なので、そこまで重く捉えないでほしい。
例えば私の大好きなcreepy nutsのお二人はお酒が得意でない。
他にも、私の友人で面白い人は大体お酒や飲み会が苦手である。
ちなみに私は飲み会は苦手なもののお酒は大好きで、面白くもなければセンスもない。悲しいことである。

そこで先ほどのエッセーの話である。
若林さんはお酒を飲まないとラジオでも言っているし、「ストレス解消法としてお酒を飲む」という発想もエッセーの中で否定している。
私からすると若林さんはお酒を飲まないのは納得である。

一方の向田邦子さんである。
父の詫び状をはじめとするエッセーの中でも、スペイン語でビールを注文する話(チーコとグランデ)などお酒(特にビール)の話は多い。

さてここで私の仮定に矛盾が生じた。
お酒を飲んでもセンスがある人がいるのである。

はい、私の偏見でしたごめんなさい

「作家と酒」という、お酒にゆかりのある作家のオムニバス作品を読んだことがある。
これを読んで思い出したのだが、そういえば村上春樹さんはビールが好きだし(パスタとコロッケとドーナツのイメージしかなかったが)、さくらももこ先生もお酒のエピソードが多い。

こうしてみると酒とセンスにはあまり関係がないように思われる。

すると私のセンスのなさをお酒のせいにできないため決まりがわるい。だが、それを克服して生きるしかないのである。


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