小麦のちょっと思い出しただけ#1-2
その後、彼女から連絡はなく俺からも連絡をすることは無かった。
季節は冬。集合研修の会場に到着し受付の列に向かうと、手続きを終えた彼女を見かける。研修資料が入った封筒を大切そうに抱えて指定された席を見つけ着席しようとしていた。
身体のラインがわかる程タイトな白いニットにグレーのハイウエストのツイードスカートを身に纏っていた。思わず目を奪われる。
俺も、受付を済ませ自席で資料に目を通していると、弾むようなヒールの音が近づいてくる。
小麦くんじゃん。彼女の弾んだ声は尻尾を振る仔犬