リクガメのふるさと旅行記を書けなくなった理由
リクガメのふるさと旅行記というシリーズを、年末から書いてみようと思い、
スロベニアとボスニア・ヘルツェゴビナ×ヘルマンリクガメの2記事を書いた。
しかし、その後は更新できなかった。
書くのを迷った理由の一つは、リクガメのごはん屋さんのお野菜を気に入ってくださる方々や、リクガメのごはん屋さんが大切にしているものを応援してくださる方々にとって、
広報担当こむぎの主張が若干強めなこの旅行記が、ノイズにならないか迷っていたからである。
また、思いのほかエッセイ味も強くなってしまった記事も気に入ってはいるが、
もう少しリクガメ飼い主さんたちにとっても、
国から関心を持って記事を読んでくださったリクガメ初めましての方にも、
リクガメ、ふるさとの国それぞれの魅力を知ってほしいと思ったからである。
そして、書けなくなった大きな理由が、もうひとつある。
ヨーロッパ以外の国々について、書こうという気持ちが整理できなかったからである。
書こうとしていた国々は、イランやスリランカ、ネパールやバングラデシュなど、中東や南アジア地域であり、
私が今の仕事の積み重ねとしても関わった国々である。
私は、自分が大学時代から関心を持っていた分野で、社会人になった今でも、幸運なことに同じ業界で働いている。
もともと覚悟して入った会社だったものの、私が初めて関わった部署や会社の人たちが、会社の内外からも言われるくらい、なかなかの曲者だった。
ある種の横暴さやダブルスタンダード、また、そういった人たちにより、
いわゆる社会的に立場が弱い人たちが割を食って、
倒れたり職を辞さなければならなかったりした状況を目の当たりにした。
自分自身も、お世話になっていた大切な人たちの力になれず、むしろ傷つけてしまった。
「空高くの星ばかりを追いかけて、足元にあるうつくしい花々を踏みつけていく人たちが多いよ」と、同じ会社で数年早く働いていた友人から正直に言われた、うつくしくも悲しい言葉が腹落ちしてしまった。
自分が関わろうと決めて、10年近く積み重ねてきた分野なのに、
迷いを持ったり、綺麗事ばかりじゃないんだからと割り切れないでいる自分への不甲斐なさや、
そう思うきっかけのひとつにもなった会社への憤りもあった。
そのため、気持ちの整理がつけられず、
残りの国々である南アジアや中東の国々のことを書けなかった。
転機となったのは、あるライターさんと、自分の環境が変わったことだった。
今後の書き方の方向性を迷ったとき、以前記事を読んでいたライターさんが、Instagramで「ことば相談室」という企画をされていたからであった。
「『物の向こう側』を伝えるライター」さんであり、野菜販売のお仕事もされていたと読んでいたので、Instagramで企画を知ったときに、
ぜひお話してみたい!と思い、相談にのっていただいた。
自分の書いた記事を読んでくださっていた麻菜さんと直接話し、
「リクガメ愛が見える中の人」の発信が大好きだと言ってもらえたことが嬉しかった。
そして、自分の伝えたい目的が重なりすぎているということを改めて一緒に整理をした。書きたいけどもう書くのどうしよう…と迷っていた私にとって、とても楽しくありがたい時間だった。
その結果、「リクガメのふるさと道の駅」企画がはじまり、
そして「リクガメのふるさと旅行記」を続けるにあたり、
この「こむぎ」のアカウントが誕生した。人と話すって大切。ありがたい。
そして、この春、私は住む場所も、部署も新たに働いている。
会社ではなく、「ひと」として見て、新しい業務やチームを大切にすること、健康第一に、人と比較をしすぎないということを心に留めて日々を過ごすうちに、だいぶ気持ちが楽になった。
何より、今回は部署の上司や同僚に恵まれていることも大きい。
腹を括って、今の場所、今の状態で、もう一度自分が大切にしていきたいことを考えたいと思えるようになったのだ。
リクガメのふるさと旅行記や文章を書いていったり、改めて当時の写真を見たりすると、その国で出会った人や感情、場所のうつくしさや文化の積み重ねを感じられている。
少しずつ文章を書いてみながら、思い出した自分が経験したり感じたものを、長い時間を経て、改めて捉え直している。
だからこそ、これまでの経験を書くことで、自分自身がこれから進む道や選択に納得感をもてると思うし、自分が思い返して今の感情を書き残したいことを書き留める場としたい。
きっかけとなった愛しのリクガメと麻菜さんには、感謝でいっぱいである。
書く予定のテーマ(書いてみて変えるかもです)
スロベニア× 「外国人」として過ごして感じた「個人のアイデンティティ」
ボスニア・ヘルツェゴビナ×紛争の激しかった多宗教の地で考えた「宗教」
イラン× 「行かないでほしい」と言われたイラン旅
スリランカ×初対面の人を「信じる」とは?
ヨルダン×七夕に祈るくらい苦手だったデータ分析が、私を助けてくれた話
バングラデシュ× バングラの田舎で田んぼを見て泣いた話
ネパール×特に印象に残っているネパールでの上司と同僚
<実際に書いた記事リスト>
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