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不器用バンドからの10年目のラブレター

2019年ライブ初めは渋谷eggmanでSAKANAMON。

昨年10周年を迎えた彼らのファンクラブ限定ライブ。以前フレンズのライブの時にも書いたけど、さかなもんも今日は振替公演。本来はあの台風の日。そのお陰で運良くわたしはどちらのライブにも行けたのだけど。

ライブで聴きたい曲のリクエストとカバーして欲しい曲のリクエストを募って決行された今回の公演。ずっとにんまりしていたと思います。良いセットリストだったなあ。好きな曲だらけでした。

ファンを長く続けていると、何度も新曲披露のタイミングに立ち会うことが出来る。その分、昔何度も演奏していた曲がライブの定番から外れてレア曲なんて言われ方をして聴ける機会が減ってしまう。さらに昔からライブで全然やっていなかったレア中のレア曲だって、持ち曲が増えれば増えるほどその数も増えていく。
だからこういうリクエストライブって嬉しいね。こういう試みはもっとどのバンドもやって欲しい。ちなみにSAKANAMON春ツアーも実はリクエストツアー。今回振替になったせいで時期とコンセプトが被っちゃったって言っていたけど、全然アリです。

ちょっと話が逸れるけど、昔の曲を満遍なく惜しみなく披露してくれるバンドといえばNICO Touches the Wallsかなあ。NICOはすごいよ。インディーズ盤2枚の曲を全曲やりますっていうライブをしたり、ミステリーゾーンと称して40分超で27.28曲披露するというバカみたいな凄い事しています。これ、本当に凄くて。いわゆるメドレーとはちょっと違うんですよね。サビだけやって次の曲ももちろんあるけれど、ある曲のサビと別の曲のコーラス部分が合わさっていたり、自分たちの曲の切り貼りが巧妙。昨年11月の幕張のライブ凄かったなあ。まるでアトラクション。この時期忙しくてnoteに書き留められなかったのが悔やまれる。。
まあまとめると、昔の曲も満遍なく披露してくれたら嬉しいなって話です。やっぱり、ファンとしてはね。


そしてライブ初めは運良く最前列!
eggmanは柵もステージも低いし、ステージとの距離感が近いから最前列だと色々と見えすぎて恥ずかしいですね。数年振りにさかなもん最前列で観られたなあ。嬉しい。いやでもやっぱり恥ずかしかったけど。


1曲目がリクエスト4位の『ピラミッドの少女』だったの、もうこの時点で大満足。2012年のさかなもん初ワンマン1曲目もこの曲だったから、10周年の締めともなるこのライブで(振替公演だったから11年目に突入しちゃってるけど)同じ始め方するのかって思ったらぐっと来ちゃった。

3曲目が久しぶりの『SAKANAMON THE WORLD』でにんまり。最近登場SEがこの曲のアレンジ版になっていて。オリジナルのSEになったんですよね。凄くさかなもんらしくて好きで。だけど今回のSEは前に使用していたSUPER BETTER DOGの『コミュニケーション・ブレイクダンス』に戻っていたから、これは本編で聴けるのでは?と期待していたらビンゴ!やっぱりこの曲がすごくわたしの中で「さかなもんらしい」曲。まあ曲名からしてそうなんだけど。

やる事ないから何もしないけど
お金も無いから引きこもっているよ
友達もいないから宅飲みなんだけど
音楽で飲むから

SAKANAMON WORLD

高校生の頃にさかなもんに出会って今年でちょうど10年。
お兄ちゃんの中学の同級生みたいなバンド。わたしにお兄ちゃんいないけど。そんな感じの距離感のバンド。この歌詞から人柄が滲み出ているよね。もう溢れているよね。いるでしょ、クラスにこういうタイプ。
ズッコケ3人組なんて言われているけど、本当に3人がいつまでもこの空気感で活動してくれているのが嬉しい。変わっていっている部分もあるけど、核となる部分は変わらない。格好良さはどんどん増えていってる。まだまだこんな引き出しあるんだ!って毎度驚かされる。


応援ソングって世の中にいっぱいあるけれど、さかなもんの場合は「あーうん、まあ、そういうこともあるよね。わかるよ。俺もこういうことあってね、」って隣で話を聞いてくれるようなそんな感じ。無理に頑張れなんて言わなくて、けど最後まで寄り添ってくれている。
だから万人受けする音楽では無いかもしれない。真っ向から「頑張れ」のエールが欲しい人だって絶対いるし。だけど一定の人には絶対に必要な音楽。人生の肴になる音楽。のび太くんにドラえもんが必要なように、わたしにはさかなもんが必要なんだ。

例えば『アリカナシカ』はいかにも元生さん(ボーカル)らしい歌詞で歌われる、わたしに必要な応援歌だ。聴く人によっては応援歌だと捉えられないかもしれないけど。わたしが自分の背中を押してあげたい日の朝によく聴く曲。

自信を持てば成功か
勝つ気で行けば優勝か
人望が有れば善人か

何て訳無い
何て事無いさ
前例が有れば安心か
需要が有れば名作か
肯定されれば正解か

何て訳無い
何て事無い


リクエスト曲2位はカップリング曲『回答少年』でこれぞまさにレア中のレア曲。格好良いのに全然やらないんだもの。
この曲、今だから言えるけど東進ハイスクールのCM曲コンペのために作った曲だったんだよ、という裏話が面白かった。ああ、なるほど。それで回答少年。

「東進ってほら、進学のための塾じゃ無いですか。なのに出だしの歌詞が”間違ってる”で、いや〜落ちたよね。笑」
「ディレクターさんに怒られたよね。笑」

そんな会話が彼ららしくて好き。
まだこの時期のさかなもんの歌詞ちょっと小難しいしね。仕方ない。今は当時とは比べものにならないくらい聴く人のことを考えて曲が作られているように感じます。その変化にいつだって感動して涙が出そうになっちゃう。


ずっと楽しみに待っていた、ライブ初披露の『リーマンビートボックス』はもう最高!最高!!こういう曲がさかなもんの、というか元生さんの歌詞の持ち味だよね。世のサラリーマンたちに聴いてほしい曲。

年功序列には跪き
お偉いさんにはおべっかと胡麻擂り
見えない場所では愚痴を垂らし
見える場所では仲良し子良し

ゆとり世代の態度に舌打ち
出世した同期を見て歯軋り

前半の、この感じ。笑
今度はこっちが「あーうん、わかるよ」になる番。

だけど、こんなことを歌っておいて後半で、

結果って奴が大事だっての分かるよ

とポツリと出てくる部分にいつもグッと来ちゃう。
愚痴を吐いたりしつつもね、ちゃんと、分かってるんだよって。ああ、よくもまあ社会人経験がほぼ無い元生さんがこの歌詞を書けるよなあ。


アンコールラスト。最近の中でいちばん背中を押される曲『クダラナインサイド』でこの日のライブは終わった。

芸人パンサーの菅さんがさかなもんファンということでコラボPVになっております。豪華。元生さん俳優もいけるじゃん、って思ったPV。
歌詞が刺さりすぎて苦しくなる。苦しくなるけど、絶対にさかなもんの曲は苦しめて終わりじゃなくて「大丈夫、俺もそうだったから」って言ってくれているようなそんな安心感がある。

ねえ お利口さんですか 周りの反応伺っちゃって
思う様に事は進んでいますか

ここの部分、初めて聴いたときに「うわあ、言い当てられた」と思って呆然としながら涙を垂れ流した記憶が強い。
いや、いいや。わたしが書く事はないな。この曲は聴いてほしい。聴いて貰えれば刺さる人にはビシビシ刺さると思います。あ、あとパンサーのファンなら観てください。笑


この他にもリクエストのカバー曲披露があったり(1位はSEのコミュニケーション・ブレイクダンス!元生さんのギターソロ珍しい。2位はフジファブリックの若者のすべて。さかなもんはちゃんと自分たちの音でカバーをするから好きだなあ。)、メンバー楽器チェンジがあったり(森野さんギタボ、木村さんベース、元生さんドラムのミュージックプランクトン。めちゃくちゃ笑った)最初から最後まで楽しいライブでした。

良い2019年ライブはじめだったなあ。縁起良し。


好きじゃなかったら10年もライブに行き続けたりしないよ。わたしの中では大切な音楽を生み出してくれるバンドです。いや、生み出し続けてくれているバンドです。

絶対にさかなもんの音楽が必要な人っているんだよ。
多くはないかもしれないけれど。けど、必要としている人の元へきちんと彼らの音楽が届くと良いなあと思います。そのきっかけになれたら嬉しいなあ。そう思うからきっとまた好きなものについて長々と語ってしまうんでしょうね。


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大麦こむぎ
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