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平凡な風景が意味のあるものに変わる魔法
音楽がこの世にあって良かった。
数々の好きな歌、ヒーローのような存在のアーティスト、同じバンドを好きな友達、学校では習わないことを教えてくれたライブハウス。
音楽がわたしの日常に彩りを与えてくれている。
音楽のお陰で息をするのが楽になったことだってある。
悔しくてたまらない朝に下唇をギュッと噛み締めながらボリュームを上げて聴いたクリープハイプのアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』
高校2年の夏、祈りのように毎晩眠る前と毎朝起きてすぐに布団の中で身体を丸めて聴いたASIAN KUNG-FU GENERATIONの『或る街の群青』
隣の部屋にバレないよう、泣き声を必死に押し殺しながら聴いていたBUMP OF CHICKENの『ひとりごと』
一歩踏み出したい、気合を入れたい時に聴いて力を貰っているSAKANAMONの『クダラナインサイド』
卒業式の帰り道に遠回りしながら歩いて聴いたチャットモンチーの『サラバ青春』
曲と共に思い出す光景や人、言葉、感情がある。
音楽の魔法だ
平凡な風景が意味のあるものに変わる
陳腐でつまらない景色が
美しく光り輝く真珠になる
音楽でね
映画『はじまりのうた』のダン(マーク・ラファロ)の台詞は、こう続いている。
年をとるほど
この真珠がなかなか見られなくなる
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大好きなジョン・カーニー監督の『はじまりのうた』を観ました。何度も書いているけれど同監督の『シング・ストリート』はとってもとっても大好きな映画。以前『ONCE ダブリンの街角で』についてはnoteに書きました。
この監督の映画は音楽に対する愛が大きい。劇中に出てくる音楽がどれもこれも良いんです。映画と音楽の調和。
今作は特に「音楽って身近な魔法なんだよ」ということが伝わってくる映画でした。イヤフォンやヘッドフォンを耳につけて再生ボタンを押せば使える、身近な魔法。
恋人に浮気をされて傷心中のグレタ(キーラ・ナイトレイ)は友人のスティーヴ(ジェームズ・コーデン)に連れられライブハウスで1曲歌うことになる。そこに居合わせたのはクビになったばかりの元敏腕プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)。
グレタの歌を絶賛したダンは、ニューヨークの街中でレコーディングをしてアルバムを作ろうと持ちかける。
傷付いた大人たちが音楽によって前向きになっていく姿は、いつかの自分の姿に重なる。わたしは曲を作らないし、歌わないけれど。
予告映像にもある、ダンが初めてグレタの歌を聴くシーンがとても好き。グレタの弾き語りを聴きながら、後ろで人の座っていないピアノの音が入ったり、ギターが鳴ったりするの。ああ、アレンジが浮かぶひとってきっと自然にこうやって浮かぶんだろうなあ、と。魔法のように素敵だった。
ニューヨークの様々な場所でレコーディングをしていくというのも本当にわくわくする。お小遣いを渡して近くで遊んでいた子供たちにコーラスで参加してもらったり、地下鉄の駅のホームで歌っていて警察に追いかけられたり、ボートの上で歌ったり。
あとはダンの「音楽の魔法だ」の台詞がとても好きだった。
今まであまり洋画を観てこなかったのですが、ようやく「この俳優さん前にも観たなあ」というひとが増えてきたのも嬉しい!
ダンを演じたマーク・ラファロは『エターナル・サンシャイン』で、ダンの娘のバイオレットを演じたヘイリー・スタインフェルドは『スウィート17モンスター』で、それぞれ観た。
ヘイリー・スタインフェルド、この年代のこじらせ感を演じているのすごく上手い。バイオレットも良い役だったなあ。
noteに書いた映画記事も少しずつ増えてきて、それがこうして繋がっていくのも楽しいね。
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恋人役のデイヴがラストに歌う歌があまりにも素晴らしすぎて自然と涙が出たんですけど、まさかMaroon5のボーカルだったなんて!アダム・レヴィーンです。Maroon5は知っているけれど、メンバーの名前や顔までは知らなかったので驚いちゃった。そりゃああんなに上手い訳ですわ。。
この曲がキーになっているんですよね。
実はデイヴが嫌だったんです。このひと何なの…って思ってムカムカしていたほどだったんですよ。最後の最後まで好きになんてなれなくて。
だけど、ラストのライブハウスでデイヴがこの曲を歌うシーンは本当に本当に良かった。デイヴの歌の力もあるんだけど、やっぱりわたしはその音楽に心を動かされているひとを見ているとグッときてしまう。だからライブハウスが好きなんだよなあ。
…良い曲すぎやしませんか。。
映画とは関係ないけれどMaroon5の『Sugar』のPVの多幸感もすごい!ハッピーな気持ちになれるのでお勧めです。
音楽は、いちばん身近な魔法だと思う。
耳にイヤフォンをさし、お気に入りのプレイリストを選んで、再生ボタンを押す。それだけで気持ちが変わるんだもの。これはもう魔法だ。
音楽の力で目の前が美しく輝くということを、ずっとずっと忘れないでいたいな。
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