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知ってた?サッカーって隕石から生まれたの! -アーリーマン-

時代をタイムスリップする作品は数多くあるけれど、2つの時代が同時に描かれる作品ってあまり無いんじゃないのかな。

しかも石器時代青銅器時代サッカー対決なんて。


アードマン・アニメーションズによる2018年公開の長編アニメ映画『アーリーマン 〜ダグと仲間のキックオフ!〜』を観ました。


もともとストップモーションアニメ(コマ撮り)が好きで、その中でも特にアードマン作品が好きなんです。

『ウォレスとグルミット』シリーズは家に友達が来た時に「ご飯作っている間これ観てて」って勝手に流して普及するほど。気付いたらみんな真剣に観ているから面白い。
『危機一髪!』は結構ラストが怖いよね。初見のひとに勧めるなら『ペンギンに気をつけろ!』かな。ペンギンのキャラクターって大抵愛らしいじゃないですか。こんなに恐ろしいペンギンがいるのか!って笑っちゃいます。おすすめ。

あと『ひつじのショーン』シリーズ。びっくりするくらい長編映画の完成度が高いです。台詞が無くたってこんなに面白い作品が作れるんだなあ、と感動したっけ。


『アーリーマン』はそんなアードマンの長編作品。

正直キャラクターデザインとしてはウォレスとグルミットや、ひつじのショーンの方が好きなんですけど、アードマンのアイディアや構成、お馴染みの動物キャラクターが最高でした。


サッカーの起源は隕石だった?

隕石の衝突によって恐竜たちが滅亡したところから物語は始まります。丸い隕石の残骸は熱く、原始人たちは「熱い熱い!」と自然にパスをし出すんですよね。隕石を足で蹴るようになり、それがいつの間にか遊びのようになり、その遊んでいる姿を壁画として描く人も現れます。

そう、サッカーは隕石から生まれたのです。

主人公である原始人・ダグが出てくるのはそれから数百万年後。
穴ウサギを狩って暮らす部族で、仲間やブタ友のホグノブとともに谷で平和に暮らしていました。("ブタ友"って実際に出てくる表現なんですよ。)

しかし谷間にヌース率いる都市国家の軍勢が押し寄せ、ダグたちは荒れ果てたバッドランドに追いやられてしまいます。

お金が好きなヌースの目的は谷で取れる青銅。

ヌースの住む街ブロンズ・エイジ・シティでサッカーが流行っていること、そしてヌースもまたサッカーが好きであることを知ったダグは、故郷の谷を返してもらうためサッカー勝負を挑みます。

しかしサッカーのヒントは壁画の絵のみ。
果たしてダグたちは故郷に帰れるのか…という物語。


原始人 × サッカー × 2つの時代

まず、ストーリーが面白い。
いわゆる古い時代と新しい時代を描いているわけなんですが「どっちの時代がより良い」みたいな部分に一切触れないんですよ。原始人なんて、みたいな描写はあるんですけど、時代としての優劣みたいなものは描かれていないんです。

ダグたちが暮らす谷の描写とブロンズ・エイジ・シティの描写ってものすごく差があるんですけど、ダグたち原始人が誰一人として「この建物は何?」「この文化は何?」とならないところが新鮮でした。

だけど対比はしっかり描かれているんですよね。
原始人にとってのサッカーは祖先が始めた歴史ある文化であるのに対し、ブロンズ・エイジ・シティでは街全体が楽しむスポーツでありエンタメ、ヌースの視点で見ると金儲けの絶好の機会。

こういうハッキリとした対比があることで子供も大人も分かりやすくて面白い作品になるんじゃないのかなあと思います。


3000個と40台

アードマン作品っていろんな要素が程よく詰まっているんです。思わず笑っちゃう描写、ぎゅっと切ない気持ちになる描写、ツッコミを入れたくなる描写。

たとえば『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』なんて、ちょいホラーあり、コメディあり、アクションあり、ですからね。長編でも全然飽きがこない作りになっています。

そう、そしてクレイアニメです!

観ている途中で「これ全部ひとコマずつ動かして作ってるんだよなあ」なんて思うともう、アードマンに足を向けて眠れません。すごいよね、顎だけちょっと動きがあったりしてさ。すごく表情が繊細なの。

キャラクターたちのために手作業で作られた交換可能な口の数、3000個ですって。

撮影のために同時に稼働していたカメラの台数、40台ですって。



魅力的な動物キャラクターたち

さて、アードマンといえばかわいい動物たち!
『アーリーマン』にもたくさん出てきました。

原始人の獲物でもある穴ウサギ、面白かったなあ。捕まってからの穴ウサギに注目です。
洗濯バサミの代わりが小ワニなのもユニークだったし、かと思えば人喰い巨大鴨のような怖いキャラクターも登場します。

ブタ友・ホグノブのマッサージシーン、最高でした。
ああいうシーンを途中で挟むのがアードマンらしくて好きだなあ。しかもね、ホグノブの声がこの映画の監督であり、ウォレスとグルミットや、ひつじのショーンの監督でもあるニック・パークなんですよ。びっくり。
ちなみに主人公ダグの声はエディ・レッドメインです。これも驚き。観終わってからエンドロールで知りました。

いちばん好きだったのは、伝言バード。
ONE PIECEの電伝虫みたいな感じです。バードなので電伝虫よりも物真似スキルが高いかな。伝言内容を全身で表現してくる伝言バード。かわいかったなあ。



本当はもっとサッカーシーンが観たかったなあとも思うけれど、89分という時間は平日の夜に観るのにちょうど良かったです。

久しぶりにアードマン作品を観れたのでこころが大満足!

まだ観ていないアードマン作品、制覇したいなあ。
ストップモーションアニメのお勧めがあれば是非教えてください。


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大麦こむぎ
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