夢が叶った話
23歳。ついに夢が叶った。
夢
幼稚園生の頃、母に「あなたは何になりたい?」と聞かれた。「僕は僕だからなんにもならないよ」と答えたらしい。
小学生の頃、「将来の夢はなに?」という問題がたびたび降りかかってくる。「僕は僕だから...」のような答えが望まれていないことくらいは察知できるくらいには世間を知っている。
僕はずっと"医者"と答えていた。
将来の夢の設定には理由が必要とされる。
僕は幸い「小さい頃体が弱く入院していた」ことと「比較的勉強ができていた」為、医者を題材に作文を書くには十分な条件を満たしていた。
高校生の頃、医者の夢を諦めた。
"なんか病院にずっといるの嫌だなぁ"と思ったからだ。ちっぽけな理由で医学部受験の道をぱったりと絶った。
そして、23の歳。夢が叶うこととなった。
「元カノと付き合った」
幸せ
高校が別々になり、早々に別れを告げられた彼女と再び付き合うことになった。
あの頃、2人で車に乗って遠くに行けるなんて想像できただろうか?
あの頃、2人でベットでゴロゴロできるなんて想像できただろうか?
あの頃、2人でお酒を飲みながら笑い合えるなんて想像できただろうか?
あの頃からもう随分と長い時間が経った。
僕たちはいろんな経験をし、別人になった。
彼女はさらに綺麗になった。
僕はとても幸せだ。
普通に幸せ
医者になること
志望校に受かること
とびきり良い会社に受かること
いわゆる夢や目標と呼ばれるような出来事を達成するよりも僕は今遥かに幸せだと思う。
僕の夢はやはりこれだったのだ。
でも、、、
僕は彼女と”普通に”付き合っている。ただ普通に
普通にデートをして、
普通にセックスをして、
普通に好きじゃないところがあって、
普通に好きで好きだ。すごく
これから僕たちは別れるか、付き合っていくかのどちらかの道を進む。おそらくどちらを選択しても、とびきり幸せでも不幸でもない。想定の範囲内である。
望むべきでないこと 願うこと
と普通だなんだとごねてはいるが、つい先日「別れたくない」と思ってしまった。
知ってる。他人に期待することは僕にとって悪いことだ。
彼女が僕のことを好きでいてほしいなんて望むべきではない。
僕は彼女が好きだ。そして、僕たちは付き合った後別れていない。
それでいいじゃないか。僕はただ彼女を信頼するだけでいい。
そうしなければ、「彼女が僕を好きでいる」という僕の期待から外れた時、僕は僕のせいで悲しまなければならない。
これからどうなるのだろうか。
とりあえず今は、この普通の幸せが可能な限り長く続くことを願っておこう