やっぱり奈良が落ち着く。
用があって神奈川へ行き、夜行バスで自宅のある奈良へ帰った。
最終日に東京に寄って、帰りのバスは秋葉原からだった。秋葉原の駅の近くを歩くのは初めてだった。人は少ないとはいえ、大きな目をした女性キャラクターの巨大な看板がいたるところにあって、メイドのコスプレをした人も歩いている。この街は自分には刺激が強すぎるなあ、早く関西に帰りたいなあと思いながら、夜行バスの発車場所を目指した。
バスで京都に着き、近鉄電車で奈良に帰る。平日の少し早い通勤時間だったけれど電車はすいていて座って帰ることができた。近鉄の駅から自宅が近いこともあり、今後、夜行バスは奈良着よりも京都着にしてそこから電車で帰るほうが良いかもしれないなと思う。そっちの方が値段も安いし。
商売下手の効能
奈良に着き、東京と比べて刺激が少ないことに安堵する。東京の、人や店や、広告の多さはやはり疲れてしまう。
奈良の人が、「同じ古都でありながら京都よりもブランディングが下手で観光客も少ない」と言って自分の県を卑下する発言をするのを時々聞くのだけど、まさにそのことが魅力なのだとずっと思っていた。平城宮跡の人の少なさや、奈良公園の穴場スポットの多さ。いつ行ってもそんなに混んでいないカフェや銭湯。
奈良に戻ってきたタイミングでちょうど、日本がマーケティングがうますぎて消費者がいろんなものを買わされて逆にしんどくなっているというような話を、マレーシア在住のライターの方が書いているのを読んだ。
ここで書かれているマレーシアと日本の比較って、日本というより、東京との比較だよなと、東京から帰ってきて思った。奈良で暮らしていてもそんなに購買欲を煽られることはない。電車広告は奈良公園の写真や、よくわからない出版社の広告が載っていたりする。奈良公園には鹿せんべいがたくさん売られているけれど、そんなにしょちゅう買おうとは思わない。
まだ京都に住んでいたときに、奈良の田舎のほうに住んでいる人と話していて、その地域にはパン屋もないから仕方なく友達と材料を買ってきて家でパンを作るということを聞いて、それは冗談半分で奈良のことを卑下した発言だったのだけど、僕は心から羨ましいと思った。
京都においしいパン屋があるのは魅力的だけれど、自分でパンを作るチャンスを奪われているのかもしれない。当時あまりパン好きでなかったのもあるけれど、そのときの僕は一度もパンを自分で作ったことがなかった。
正直なところ、僕が住む奈良市の中心部は最近ツタヤ書店ができたりして、店も少なくないしかなり便利なのだけど、それでもちょっと歩けば小川や閑静な住宅街や奈良公園や平城宮跡があって、のんびりできるスポットがかなり多い。というよりのんびりできる場所が主だ。
最低賃金は低いから収入は多くないけれど、マイペースに生きるにはすごくいい場所だと思っている。都会の暮らしに疲れた人は、一度奈良に来てみたらいいんじゃないかな。
たまには遠くを眺めてぼーっとしようね。