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鳥料理いろいろ『万寶料理秘密箱 巻之一鳥の部』ご紹介

以前、江戸時代の卵料理をご紹介したことがありますが、そのときの古文書『万寶料理秘密箱』の第一巻が今回の鳥料理になります。(ちなみに前回は第三巻です)

一点注意がありまして、「鶏」ではなく「鳥」なのですね。「ニワトリ」ではないのです。つまり、鳥と言うからには鷹・雉・鶴・鳩・雁・ウズラ、さらにはホトトギスなども含まれており、ズバリ鳥類のことなのです。

当時はさまざまな鳥が食されていたということなのですが、現在では一般的にほぼニワトリですので、ご紹介するのもニワトリレシピの部分にしたいと思います。


1.塩鳥(塩漬けにした鳥)の煮鳥の作り方

どのような方法でもよいので、しっかり塩鳥の塩抜きをして煮ます。また、別の鍋に鳥の脂を少し入れて煮立たせて、酒を多めに入れ、醤油を少々加えてさらに煮ます。そこに先ほどの塩鳥を入れて煮ます。赤貝や焼き麩を入れたり、割り山椒やカヤの実の小口切りを加えても、たいへんよいでしょう。

2.鳥飯南蛮料理の作り方

ニワトリの羽をむしり毛をはいで内臓を取り出し中をよく洗います。そこに「もち米を一杯」「うるち米一杯」「酒一杯」「醤油一杯」「味噌一杯」「酢半杯」以上6種類、そのほかに大根と鰹節を入れます。そして、普段米を炊くのと同じ水加減で、このニワトリを入れて炊きますが、そのとき、手を入れて甲の上まで水が浸かる程がよいでしょう。鳥飯に水によく馴染むまで、飯をグツグツと炊いて、煮え切るまで続けます。

これは鴨でも雁でも可能です。だし汁は少し甘めにし、加薬は控えましょう。ほかにも鳥飯というものはありますが、一般によく調理法が知られていますので、ここでは割愛します。


【たまむしのあとがき】

ずいぶんあっさりした料理でしたね。今のように唐揚げや照り焼きのような高カロリーな食事というものは、やはり江戸時代にはなさそうです。

「鳥南蛮」というからには辛味の効いたものと想像してしまいましたが、韓国のサムゲタンの親戚のようなものみたいですね。

サムゲタンは薬膳料理に位置づけられていますから、この鳥飯南蛮も同様のものといってよいのかもしれません。

なぜ南蛮という言葉がついているのかが気になりますが、その点についての説明は書かれていないのです。残念です・・・。

最後に、どんな鳥料理があるのか気になると思いますので、タイトルを原文のまま列挙してご紹介したいと思います。


【付録】

①鳥いろいろ仕方
②准麩鳥の仕方
熬鳥いりとりの仕方
④ひしほいりの仕方
鹿煎しかにの仕方
定家烹ていかにの仕方
⑦鷹野鳥の仕方
⑧鳥の御山陰料理仕方
⑨時鳥土器に盛仕方
⑩鳥饅頭の仕方
⑪鳥だんごの仕方
⑫長崎鳥田がくの仕方
⑬長崎鳥のとろろ汁
⑭鳥のはんぺい
煎鳥にとりの仕方
⑯鳩のはぶし
⑰鳥のこくせう
鳥鱠とりなますの仕方
⑲鷹野寸々切鳥たたきとり
鳥醤とりひしおの仕方
㉑鳥の法論ほろ味噌
㉒雉の山陰汁
㉓塩鳥煎鳥の仕方
㉔鳥飯南蛮料理
㉕鳥の味噌漬
㉖塩鳥の仕方
㉗鶴の仕方
㉘雁の料理
うずらの塩辛の仕方

ジビエ料理に近いですね。
焼き物よりも煮物といった、ヘルシーな料理ばかりでした。(たまむし)


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