人には誰にでも得意な字と苦手な字がある~『世界風俗往来』より
古文書を読むたびに、すんなり読めない字に遭遇します。それはいつまで経っても自分とは相性の悪い字だということで、だいたい似たような傾向があります。
その逆に、どんなに崩されていようが、すぐに判読できる得意な字というものもあります。
これは食べ物の好き嫌いのようなもので、料理方法(崩し方)によっては食べられる(読める)場合もあるし、何度も何度も食べていって(学習して)克服する場合もあるし、場合によっては、素材(漢字)そのものがダメという場合もあるかもしれません。
次に投稿するつもりで読んでいた『世界風俗往来』(この記事に代えさせていただきます)という古文書の中に、久々に「うわ~ん、わからん、これ!」と絶叫したくなる漢字に遭遇しました。
それもひとつではなかったのです・・・。
一手に「〇」し。
この「き」は「帰」です。
「帰」がなぜ「ひへん」?このつくりも何よ、これ?
くずし方に納得いきませんが、字書を調べると確かにあるんですよ。ここまでひどくはないですが、「り」の部分が「丁」になってるのが。
そういえば前にもあったわ・・・。
キィーーー!
ルビを読むと「すうとう」「さまざま」とあります。
「とう」は「等」なので、たくさんあるの意味ですよね。
それであれば「すう」は「数」以外にはありませんが、こんな字だっけっけ?
また字書を調べて確認。
ハァ、そうだった「数」で間違いないわ。見たことある・・・前も読めなかったよね・・・・。
完全に覚えきれてなかったんだ・・・。
キィーーー!
頼みのルビが不鮮明でよくわかりません。
文字下の部分「ふ」とあるのは「示」のことで間違いなく、それならば「祭」だ!と思い込んでいましたが、前後の文章からお祭りに関する様子は微塵も感じられません。
またまた字書の登場。示の項目を調べます。
「示」が文字の下にくるのは3つしかないのです。
「祭」「票」そして・・・「禁」。
「禁」じて、かぁ・・・・・。
このくずし方じゃあ、木2つには見えないよ!
キィーーー!
「せいすい」とあります。
栄枯盛衰の「盛衰」なのですが、勝手に「勢」と勘違いしていて、変だなぁ、これ「勢」じゃないよねぇ・・・・とまず、余計なところで悩みます。
ハッ!「勢」じゃなかった。「盛」だわ、これ。
でも「皿」はどこいったのよ?「皿」は。
またまた字書さん、こんにちは。
「成」がなんでこのくずし?
よーく調べるとそうなのよ。
「成」を崩すと、入筆(にゅうひつ=筆が入る最初の部分)以外は「来」になるんだったわ・・・・。
いや~~~、もー、これ大事よ!!なんで忘れるの!
キィーーー!
そんな自分に対してキィキィ怒りまくって読みこなしたこの一冊。
往来物(教科書)のくせにー!
文字が素晴らしく美しいので、逆に怒り倍増。
大好きなフカヒレスープ頼んだのに、肝心のフカヒレが姿煮じゃなくて割かれていて、しかもちょびっとしか入ってなくて、もはや何スープだかわからなかったのと似てます。(違う?)
しかしこの古文書は本当に、漢字の崩し方を学習するには非常に良い教材なのです。手こずるものほど学びがいがあるというもの。
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