JFL 日本フットボールリーグ 2020
JFL 日本フットボールリーグの2020年度が終了した。
大会方式そのものが、新型コロナの影響で本来の2回戦総当りを1回戦総当りの各チーム15試合とするなど特別な年となったが、大会の結果も興味深いものとなった。
その第一は、従来「定位置」ともなっていた Honda の1位、ソニー仙台の2位がともに崩れたことである。特に Honda は、現在のプロ監督とプロ契約の選手全員が今年度限りで退団、社員選手だけの完全アマチュア・チームに移行することを発表した後から勝てなくなってしまい、結局4位という結果に終わった。天皇杯ではまだ勝ち残っているものの、チーム・選手への精神的影響が決して小さくなかったことを伺わせる結果となった。
結果、J3参入条件の4位以内に入ったプロ・チームは優勝したヴェルスパ大分と2位のテゲバジャーロ宮崎の2チームとなったが、大分はJリーグ参加資格を持たないため来年度J3に加わるのはテゲバジャーロ宮崎だけとなった。このままだと来季のJ3は奇数チームとなってしまうが、今季参加を辞退した FC東京U23が復帰してくれれば20チームのリーグ戦となる。
第二の注目点は新規に昇格したいわきFCと高知ユナイテッドSCであった。特にいわきFCはその特異な強化方針と個性的なチームカラーに注目が集まり、一部にはJFL を1年で突破するのではないかという見方さえあったからで、筆者も「1年突破」はともかくリーグの中位は十分可能と考えていた。結果は16チーム中7位ながらJ3参入条件の4位との勝ち点差は1、最終節までJ3参入の僅かな可能性を残したのだから大健闘と言えるだろう。7位で?となるかもしれないが、5・6・7位の3チームとも「6勝6敗3引き分け」の勝ち点21で得失点差で順位が決まるという大激戦であった。
一方の高知ユナイテッドSCは、昇格前の印象通り極めてオーソドックスなサッカーをするチームで、その為か当初は勝てない試合が続いた。しかし最終結果を見ると16チーム中14位と、通常年の降格枠には入らない成績を収めている。昨年15位で今治のJ3参入のおかげで残留できた松江シティFC が今年は10位と躍進したように、来季はさらなる好成績・順位が期待できるのではないかと思う。
第三に、直接選手やチームに関係することではないが、サッカーファンにとって大きな変化があったことを挙げたい。それは、コロナ禍による無観客試合への対策として大幅に拡充された「ネット中継」である。独自に実施してきた一部チーム以外の試合について「 JFL チャンネル」という形で Youtube 中継およびアーカイブ化がされたことは、特に将来Jリーグを目指すチームが少しでもファン・サポーターを増やすという目標にとって非常に大きな意味をもつものであったと思う。また、最終節の注目カードであった「テゲバジャーロ宮崎ーいわきFC」の試合を、地元のテレビ局である宮崎放送が中継・ネット公開してくれたことは、下位リーグと地元メディアの今後の関係を考える重要な一石になるのではないかと感じている。
最後に、来年は前稿でも書いた地域CLで1・2位となったティアモ枚方とFC刈谷が昇格してくる(正式には12月8日に決まる)。これによって、T宮崎ーホンダロックが無くなって三重ー鈴鹿だけになってしまうところだった同一地域チーム対決(ダービー・マッチ)が、T枚方ーFC大阪、マルヤス岡崎ーFC刈谷を加えて一挙に3組に増えるのもまた楽しみである。
追記:J3では、今季J2からの降格が無いこと、2020年度をもって U23チームが撤退することが決定していることから、2021年度はT宮崎を加えた15チームで開催と決まった。終了時点でJ2から4チーム降格(2チーム昇格)で17チームとなって、JFLからの新規参入を待つことになる。