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2024年 JFL第24節

 JFLは終盤に差し掛かり、台風などによる延期試合も消化して全クラブの消化試合数が揃った。
 シーズン始めから首位を独走してきた高知ユナイテッドだが終盤に来て突然勢いが衰え、24節でついに逆転されて栃木シティが首位に立っている。
 残り6試合となったところで、「J3自動昇格(参入)・入れ替え戦」のイメージが次第に明らかになってきたと言えるだろう。。
 今季JFLに参加している16クラブの中で、J3ライセンスを取得できているのは北から順に下記の7クラブである。
  ラインメール青森
  栃木シティフットボール
  クリアソン新宿
  ヴィアティン三重
  レイラック滋賀
  高知ユナイテッドSC
  ヴェルスパ大分
 これらのクラブの成績を表に示す。素晴らしいことに、新宿を除く6クラブが5位の Honda を挟んで1位〜7位を占めている。クリアソン新宿は残念ながら下位に低迷していて、仮に残り全勝しても2位には届かないことが既に確定しているので以降ではとり上げない。

第24節時点での上位(5位の Honda  を除く)

 例年と大きく違って見えるのは、これまで "門番" と称され常に上位を占めてきた Honda とソニー仙台の姿が上位4位までに無いことである。 Honda がプロ契約の選手・スタッフを廃止したことで若干戦力ダウンしたこと、もう一つのソニー仙台も様々な事情で振るわなくなったことが一つの原因とは言える。だが、最大の要因はそれらに代わって上位を占める "Jを目指すクラブ" がいずれも "本気" で強化に取り組み始めたことだろう。上位クラブの多くにS級ライセンスをもつ指導者が就任し、また滋賀・三重・栃木は多くのJリーグ経験者を獲得している。
 その中で、J経験者の少ない高知が社長交代など運営母体の改革を契機に「高速カウンター」戦法に徹して開幕から首位を独走したことも特筆すべきであろう。
 上の表のように、栃木シティと高知ユナイテッドが1・2位を占めて勝ち点で3位以下を大きく引き離しており、順当に行けば共にライセンス取得済みのこの2クラブが自動昇格・入れ替え戦出場の対象となる可能性が高くなっている。
 3位以下では、滋賀から7位の青森まで三重・大分に Hondaを加えた5クラブが勝ち点差4の間で競り合っている。仮にこの中から大勝ちするクラブが現れ、一方残り6ゲームで高知・栃木のいずれかが大失速するようなことがあれば、どこかが代わって2位にという可能性もわずかだが残ってはいる。
 上位クラブの直近5試合の成績(下の表)を見る限り、残りを大勝ちする可能性を最も感じさせるのは滋賀であり、逆に失速する可能性が見え隠れしているのは高知と言わざるを得ない。とは言え、高知が残り6ゲームで3勝すれば滋賀以下は追いつけないのだから、栃木と高知の優位は明らかである。

直近5試合の成績

 J3参入にあたって大きな "壁" となるのがホームゲーム観客数「平均2,000人以上」という条件である。これについても表に示すように、今季は成績で1〜4位のクラブがこの条件をクリアすることが確実という見事な成果を示している。
 特に注目したいのは表の右端に示す「2,000人超を達成した回数」で、ここまで12回のホームゲーム中5・6回達成しているクラブが3つもあることである。
 これまでは、前回参入した大阪・奈良のように終盤に設定した「特別な試合」で一気に1万人以上を集めて達成という例が多かった。しかし今季は、高知がその形であるものの、栃木、滋賀、三重の3クラブは地道な営業努力によって安定的な観客数を確保していることが明らかである。
 今季のJ3でも20クラブ中7クラブが平均2,000人未満、内3クラブが1,500人未満であることを考えると、これは極めて優れた実績であると言える。
 大分も逆転の可能性は残しているが、観客数がかなり厳しい状況である。ただレゾナック・ドームという大型スタジアムの予定を残していることから、成績順位の動向によっては一挙に10,000人上積みという可能性も無いわけではない。
 青森については、栃木が1勝、高知が1勝1分するだけで勝点が届かず、また観客数条件を達成できる可能性も極めて低いので、今季の昇格はほぼ絶望的と言える。

ホームゲームの平均観客数

 これらのことから、まず栃木・高知が1・2位となる可能性が高く、逆転があったとしても加わるのは滋賀か三重で観客数条件でも十分クリアできることから、来季に向けて初の「自動入れ替え」と「入れ替え戦」が実現することはほぼ確実とみられる。唯一違う形になるとすれば、高知か栃木が大失速、現在5位の Honda が残り全勝するケースで、確率ゼロではないがその可能性は低いだろう。

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