全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2021
今年の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(以下地域CL)が終了、JFL 昇格 (候補) チームが決定した。
大会前には、これまでにも地域CLに登場している関西の「おこしやす京都AC」、北信越の「福井ユナイテッドFC」、九州の「沖縄SV」などが有力と予想されていた。しかしながら結果は、関東リーグを急成長で駆け上がってきた「Criacao Shinjuku」と東海リーグで2位ながら輪番枠で滑り込んだ「FC.ISE-SHIMA」の、共に地域CL初出場の2チームが制するというやや意外な結果となった。
一位となった「Criacao Shinjuku」は、地域との繋がりを重視しつつサッカー選手のセカンドキャリアを構築すると言うユニークな発想のチームで、その考えに共鳴した元Jリーガーが多数所属、ネット上ではJリーグOBチームなどと話題になっていた。OBといっても昨年まで現役Jリーガーだった選手が多数出場しているのだから、強いのは当たり前だったかもしれない。ゲームでも個人の能力の違いを見せつけて、予選・決勝の6ゲームを通じて4勝1敗1分、得点11と圧倒しているのだが、4ゲームで失点していて合計6失点(おこしやす京都ACには 2-3 で負け)とやや荒っぽい試合運びが気になるところではある。
二位の「FC.ISE-SHIMA」は、元日本代表、名古屋グランパスのスターであり、後にグランパスの監督になったが大きく失敗、チームを去ったあの小倉隆史が監督を務めるチームである。大変驚いたのは、現役時代エースストライカーであった小倉が率いるチームであるのに、非常に地味な守備を大切にするチームだったことである。それは6ゲームを通して3勝3分、得点5・失点0という、上記の Shinjuku とは対照的な結果となって現れている。勝ったのは福井Uと藤枝市役所とFC徳島、参加チームの中では力が上と見られた沖縄、京都、Shinjuku とはいずれも引き分けている。すなわち、「勝てる相手にはきっちり勝ち、強い相手には引き分けを狙う」という基本通りのゲームを行ったということである。
例年であればこの2チームが JFL に自動昇格するのだが、 JFL がコロナ予防の特別レギュレーションであったことで、今年に限ってリーグ下位の2チームとの入れ替え戦が課せられることとなっている。「Criacao Shinjuku」は最下位のFC刈谷と、「FC.ISE-SHIMA」は武蔵野ユナイテッドFC か企業チームのホンダロックSC のいずれかと対戦することになる。仮に「FC.ISE-SHIMA」が昇格すると、JFL 16チームの中に三重県から3チームが在籍することになる。数少ない "Jリーグ不在県" の一つとしてやや皮肉な状況とも言える。