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在来工法と伝統構法の違い
1919年(大正8年)に制定された市街地建築物法を前身に1950年(昭和25年)5月24日に制定された建築基準法は木造軸組構法の基準を在来工法と定めました。ただその性能は大きな震災が発生するたびに特に耐震に関する規定を何度も変更しています。また耐震以外にも2003年(平成15年)に室内環境の改善のためシックハウス対策が、2024年(令和6年)には省エネルギー法が改正されるなど度々と改正されています。
在来工法の特徴は、コンクリート製の布基礎(ぬのきそ)に土台(どだい)が緊結(きんけつ)され、柱(はしら)と梁(はり)や桁(けた)などの横架材(おうかざい)の軸組みに地震時の建物の変形を少なくするために斜材(しゃざい)である筋交い(すじかい 筋違いとも表記される)や火打(ひうち)が使用されます。耐震に関しては簡易的に床面積に対する壁量(へきりょう)で判断する壁量計算(へきりょうけいさん)が使われます。
これに対して伝統構法は自然石を用いた玉石(たまいし)や長石(ながいし)などの礎石(そせき)に柱が建てられます。コンクリート基礎のように固定はしていません。横架材に関しては在来工法より明らかに大きなものが用いられ、梁以外にも足固め(あしがため)や差し鴨居(さしかもい)など幾層もの部材で構成されています。
・伝統構法住宅のメリットとは…
夏を快適に過ごす先人の知恵を学べる住宅。
地震の力を上手に逃がす免震的構造。
地産地消の循環型建築。
四季の移り変わりを感じ、自然との共生ができる空間。
自然素材使用による人体に安心な空間。
開放的な間取りにより地域住民とのコミュニケーションが取りやすい住宅。
可変性に優れた就寝一体(しゅうしんいったい)の住宅。
来訪者を気持ちよく迎えられるおもてなしの住まい。
・伝統構法住宅のデメリットとは
気密性、断熱性の低さによる冬の寒さ。
現在のライフスタイルに合わない来訪者中心の家長主義的な間取り。
室内の暗さ。
デメリットはリフォームである程度解消できます。それよりもメリットの多い古民家を活用していきたいですね。