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高き夏空 天に召すのは聖母さま
ヨーロッパで8月の宗教祝祭日といえば、, 聖母マリアの被昇天祭。
聖母マリアがその人生を終えた時、肉体と霊魂を伴って天国に上げられたという信仰で、8月15日がその記念日とされています。
キリストもマリアも地上での生涯を終えた後、天に昇っていったのですが、キリストが自らの力で昇天したのに対し、聖母マリアは聖霊の力で天に上げられたので被昇天と呼ばれているそうです。
8月15日は主にカトリックの圏で祝祭日とされいて、ドイツではマリア昇天祭(Mariä Himmelfahrt)として, バイエルンとザールラントのみ州祝祭日となっています。
息子の昇天は復活祭から40日後なので毎年変わるのですが、母親の被昇天は決まった日とされています。
聖母マリアの被昇天といえば、アントワープの大聖堂にあるルーベンスの祭壇画や、シカゴ美術館所蔵のグレコの作品などが有名です。
かつて、アントワープの大聖堂には足を運んだことがあります。
ここには「フランダースの犬」のネロ少年が観たがった「キリストの降架」、それから「キリスト昇架」「キリストの復活」という一連の作品が収められています。
アントワープにはルーベンスの家や王立美術館があり、ブリューゲルやレンブラント、近現代ではアンソール、マグリット、デルヴォーといったフランドル地方を代表する画家の作品が鑑賞できます。訪れる際は併せてどうぞ。
宗教画を見ていると、ほとんどの聖母マリアが青をまとっています。
青は聖母マリアの色とされていますが、当時の青の顔料はラピスラズリを砕いて作られたもの。
貴重で美しい顔料は、はるばる海を越えてやってきたため、ウルトラマリンと呼ばれ、珍重されたそうです。
大切な方に惜しみなく使われたようですが、18世紀初頭に、ベルリン(当時のプロイセン)でプルシアンプルーが合成され、青色顔料が安価に利用できるようになっていきます。
画像で見れば同じ青い色かもしれませんが、由来はそれぞれ異なります。宗教画やフェルメールに用いられたウルトラマリンと葛飾北斎やゴッホが用いたプルシアンブルー。
機会があれば、足を運んで、比べて観てはいかがですか?