まさに豪邸 ご招待なく入るにはやっぱりこれでしょう…
ドイツ西部に広がるルール地方(Ruhrgebiet)。ドイツ最大といわれるルール炭田と、物資輸送に便利なライン川沿いという立地に恵まれたこの地域は、19世紀よりドイツ屈指の重工業地域、ルール工業地帯として発展していきます。
中でも鉄鋼業は、デュッセルドルフに拠点を構えたティッセンと、エッセンに拠点を構えたクルップによって牽引されていきますが、両社は1999年に合併し、現在はティッセンクルップ(ThyssenKrupp AG)としてエッセンに本社を構えています。
ちなみに、欧州最大級の日本人街があるデュッセルドルフ(Düsseldorf)は工業地帯の金融を支えるルールの事務机(Schreibtisch des Ruhrgebiets)として経済成長していきます。
さて、そんなクルップ一族の豪邸がエッセン(Essen)の郊外にあります。その名もヴィラ・ヒューゲル(Villa Hügel)。丘のお屋敷ってそのまんまですね。屋敷の見学ができますが、定期的に展覧会等も開催されています。
クルップ(Krupp)は1811年にエッセンで鋳鋼工場として創業、厳しい時代を乗り越えながら同族経営企業として発展していきます。
ヴィラ・ヒューゲルは1870年から1873年にかけて大砲王の異名を持つアルフレート・クルップにより建設されました。
19世紀後半から20世紀前半という時代背景を考えれば、当時ドイツ最大と謳われた鉄鋼企業クルップの工業製品が軍需兵器であったことは容易にお分かりかと思います。
現在は財団に管理された豪奢なお屋敷ですが、かつてはさぞかし華やかなパーティーが催されたことでしょう。正面玄関前の車寄せには軍の上層部や政府高官の高級車が連なり、招かれた要人たちは豪華な邸内で歓談と共に戦略談義に興じたのではないでしょうか。
お屋敷の中には家族の大きな肖像画が残されています。
敷地内には企業の歴史、当時の写真や製造の記録、残された製品を展示した資料館もあります。
ヨーロッパには様々な出来事が国境を越えて広がり、重なり合っています。
そして、時に残された名残りが何らかの形で見えてくることがあります。
目の前に広がる景色をそっとめくってみてください。
思いもかけないものが目に入ってくるかもしれません。
Villa Hügel の公式サイトです。セキュリティソフトでは安全と出ていますが、PCの環境によって、開くと、Webサイトをブロックしましたというメッセージが出ます。
https://www.villahuegel.de/en/
(About us / Krupp Historical Archive / Stocks and use には1937年に撮影された歴史的な写真等も残されています。)
(2002年の回想録)
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