見出し画像

ゴキブリと扇風機と私


マニラ時代のエッセイの加筆です)


軽く手を開いていただいて
だいたい親指から人差し指までの距離
そんな長さの
触角をもつゴキブリに遭いました(死)

ここに来て早十年、フィリピンの害虫は怖くないとの結論に達しています。だって超☆遅いから~マジウケル~。日本のゴキブリは国民に似ていかにもやり手で異常に素速く狡猾で油断なりませんがフィリピンのゴキブリは国民に似て

何年か前に自宅で(思い出したくもない)7センチくらいの巨大なやつを見て以来、二匹目の南国巨大バージョンです。前回をはるかにしのぐ横綱でした。しかしその体長ほどもある触覚で一体何を触覚しているのか?ゆらゆら揺れながら何かを察知したみたいにしているのは何故なのか。果たしてその触覚はワラか何かだったのか?ゴキブリは、真正面からゆっくりと盛大につぶされました。店員に。(扇風機屋)
店員は「これで大丈夫ですよ!」とでも言いたげな顔で微笑みかけてきましたが、もうこんな店には、いられない。おまえらみんな一列に並んで風に吹かれてろ!(扇風機)

フィリピンの扇風機は怖いです。通常のゴキブリ以上に怖いと言えるでしょう。
何故なら火事になるから。
日本の人たちにはわかりにくいかと思いますが、庶民があまりエアコンを持たないマニラでは、扇風機の回し過ぎが原因という火事が非常に多いです。回り過ぎて、夜の間に出火する扇風機。風じゃなく、火を吹く扇風機。見たことありますか?(ないでしょうね)
似たもので、クリスマス電飾出火というのがあります。こちらもマニラ広範囲にわたり恒例です。イブの夜を美しくしようと光るつもりが、焼け野原にしてしまうのです。

そもそも扇風機の風力ボタンは1から3まであるんだけど、プロペラと本体部品が「3」の風力に耐えられないのです。
エアコンをつけていてもたまに暑くて、たわむれに「3」にしてみると、異常な高速で回るプロペラの様子がみるみる不穏になり、カバー部分がきしみ出し、プロペラ中央部分がゆるんでいるような映像が見え出します。次第に回転音にカチッカチッと何かの外れるような音が混じり始め、扇風機が全身で「無理!無理!」と叫んでいるような様相を呈します。特に首フリにしている時などは、まさに発射準備段階の、ぎりぎりの高速回転爆弾が切羽詰まって照準を探しているようにしか思えない。これ以上「3」を続ければこっちにプロペラが飛んできて腕がすごい切れる、そのあと顔にぶつかって裂けるみたいな結果が簡単に想像できる。絶対にそんなことを起こしてはならない。だから新しい扇風機を買いに来たのに。

マニラで普通に買い物できるなんて夢だよ


いいなと思ったら応援しよう!