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母が握ってくれた味噌おにぎり

おにぎりの具で好きなものはと聞かれたら、定番の鮭やたらこと答えるが、忘れられないおにぎりと言えば、子どもの頃に食べた『母が握ってくれた味噌おにぎり』を思い浮かべる。

この味噌おにぎり、自分で作って食べても何か違う。どこが違うのか思い出しながら考えてみた。まず、母は必ず炊き立てのごはんを手を真っ赤にしながら軽く握りおにぎりを成形していた。手のひらに味噌を適量取り、それを表面に素早く塗る。そしてこの味噌おにぎりだけはお皿には置かずに直接食べさせてくれることが多かった。一方私が作るおにぎりは、炊き立ては熱くて握れないので一旦お茶碗によそい、少し冷ましラップで包んでその上から握る。この時点ですでに全く別物なのがわかる。

ごはんも違うし握り方も違う。そして何より美味しかったという記憶の中には、赤く艶々した母の手から直接口に放り込んでもらい、母も残りの半分を食べ「おいしいね」と言いながらふたりで食べた思い出のエッセンスが大いに作用していた。

夫が家族に作る料理がいくつかある。そのひとつが『めはりずし』だ。高菜も自分で育てて漬けているというこだわり。このお正月も夜食に朝食にと作っていた。子どもたちが喜んで食べてくれるのがなによりも嬉しいらしい。お父さんのめはりずし。子の気持ち、親の気持ち、今ならどちらもよく分かる。

めはりずし(めはり寿司)は和歌山県と三重県にまたがる熊野地方、および奈良県吉野郡を中心とした吉野地方の郷土料理。高菜の浅漬けの葉でくるんだ弁当用のおにぎり。

「めはりずし」Wikipedia

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