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酒米づくり24の季節 #01 塩水選
4月10日。ついに、今年の酒米づくりが始まりました。
まず最初にやるのは「塩水選(えんすいせん)」。聞きなれない言葉です。
これから苗を育てていくにあたり、良質な種籾(たねもみ)を選ぶ作業のことです。
ぎっしりと胚乳が詰まった種籾は、比重1.13の食塩水にさらしても沈みます。反対に詰まっていない(比重の軽い)種籾は浮き上がってきますので、取り除きます。
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1 塩水をつくる
まずは塩水をつくります。比重1.13の食塩水をつくるには、水10Lに対して、およそ2.2㎏の食塩が必要だということです。結構しょっぱそうです。
2 比重計ではかる
魚釣りで使うウキのような比重計で水分の比重を測ります。ぷかぷかと浮かんでいます。
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3 種籾を投入、浮き上がってくるものを取り除く
種籾を投入して、よく塩水になじませて、浮き上がってくる種籾をお玉状のザルで取り除きます。
4 水洗い
ついてしまった塩分を流水で洗い流します。
5 網袋につめる
網の袋に詰めて、次の工程である浸種(しんしゅ)へと進みます。
動画はこちらから。(Instagramへ)
「塩水選」は、正式名称を「塩水選種法」と言い、明治時代に福岡農学校教諭の横井時敬さん(のちに東京農業大学初代学長)によって開発された方法で、収穫量を伸ばすことができるだけではなく、当時使われていた風選や水選にまさることを田んぼで実証したということです。
塩水選は、科学農法の先駆けだと言われています。当時の農業者たちがいい米をできるだけ多くとりたいと思う願いをかなえた「塩水選」は、今も続いています。
編集後記
わたしは「比重計」というものを初めて見ました。ぷかぷか浮かんでいて愛嬌があります。
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