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選手が教えてくれた、嫌われる勇気|10月28日〜11月3日
はじめに
コメラ〜(Be Strong!)
今週は、アスリート発掘・育成「ISONGA」プログラムの合同練習兼大会が開催されました!
モヤモヤモヤモヤした1週間でした。
では、スタート!!
10月28日|許せなかったこと
先週の土曜日
バレーボールクラブに、ハードルを貸した。
というか「私のものは私たちのもの」という文化で
物を共有するのは当たり前な感覚なので
勝手に使われていることはよくある。
それは全く問題ない。
むしろ、素晴らしい文化だとすら思う。
そして、体育授業中にボールを倉庫から取り出そうと思い
ハードルを確認すると、こんな状況だった。
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ぐっちゃぐっちゃにされて、放置されていた。
普段、ミニハードルとミドルハードルをそれぞれの場所に
並べて保管している。
ハードルはいくつかパーツがバラバラになっているものもあり
最悪だったのは、パーツが紛失してしまっていたこと。
水道パイプもジョイントも、私が生活費を切り詰めて購入したものだ。
バカみたいに高いわけではないけど、そんなに安くもなかった。
以前、2週間ほど前かな。
バレーボールクラブのコーチに
「選手がハードルを雑に片付けていた。
これが続くなら、もう貸せないよ。」と伝えていた。
その時の対応も、今思えば、イライラするのだけど
「ははは」と、お得意のごまかし笑いで返された。
先週は、練習前の選手がハードルを取り出しているときに
「使い終わったら、ここにきれいに戻してね。」と伝えた。
案の定、練習後にテキトーに戻しているのをたまたま見つけて
「伝えたじゃん・・・」と呆れながら、一緒に戻した。
「あー、ごめん。もう繰り返さないよ。」と
気持ちもなにも、言えばいいとでも思っているような態度で言われた。
それらを経て、今回。
もうさすがに限界(笑)
体育倉庫に保管しておきたいけど、自分の家で保管することにした。
バレーボールコーチには、写真を送り
「ごめんだけど、もう貸せない。」と伝えた。
この一連の私の行動に対して、カウンターパートや同僚の体育教員は
「You are so serious」と呆れたような笑いをしていた。
それに対して、モヤモヤした私。
なんでもかんでも、これがルワンダの文化だから。と
それで納得すると思わないでほしい。
「私は日本人だからね。それは嫌だし、しっかり対応もする。」
「そんなに安くないお金を支払って作ったものだから、自分で管理する。」とはっきり伝えた。
でも、このモヤモヤはなんなのだろうか。
この方法では、根本的に解決しないということを
私は気づいているからだろうか。
わかっている。
直接、選手にもコーチにも伝えなくてはならないことは。
それができなかった私は、たしかに、子どもっぽいし、幼いかもしれない。
でも、その一方で「ごめん。もう繰り返さない。」と言ったのに
次の日には同じことを繰り返されるということを
私は数えきれないほど経験してきた。
彼らが直接謝ってくれることを1%だけ期待している。
彼らが謝る可能性なんてほとんどないのも分かっているし
ルワンダ人同士で
「ケチなやつだな。」
「そんな小さなことで怒って、めんどくさいやつだな。」
と言われるのだろう。
それでも、いい。
嫌なことは嫌だ。
みんながみんな同じ文化、考えを持っているとは思わないでほしい。
はあ。。。。
なんか月曜日から本当に疲れた。。。
10月29日|ジャックの涙
先週「なんで陸上競技が好きなの?」と聞いてくれた男子生徒。
月曜日から練習を再開した。
「現地コーチに来なくていい。」と言われた。という彼に
私は昨日、少し厳しいことを伝えた。
「その程度の気持ちなら、辞めていいんじゃない?」
「あなたの気持ち次第だよ。」
今日の練習後、現地コーチに
「彼はどうだった?」と尋ねると
「練習を積み重ねていけば、結果の出せるロングジャンパーになれると思う。でも、走力も筋力もまだまだだね。」と。
その言葉を聞いたジャックが涙を浮かべていた。
はじめて、現地コーチに認められた瞬間だったから。
それだけでなく、悔しさの涙でもあっただろう。
「しっかり誠意を持って取り組めば、認めてもらえる日が来るから。
現地コーチも、ちゃんと見てくれているんだよ。
だから、毎日練習に来て、一緒に頑張ろうよ。」
改めて、彼にそう伝えた。
この先、彼が練習に来るのかどうかは正直分からない。
彼の涙が、大会に出られないからなのか
コーチに認められたからなのか
私には正直、分からない。
ただ大会に出場したかっただけだからかもしれない。
練習をせずに、大会に出場する。
これがルワンダにおいて、
スポーツに取り組む選手たちの少なからず現状とも言える。
・コーチがいない。
・練習環境がない。
・練習道具がない。
様々な背景が複雑に絡み合っているけれど
少しずつ環境が整ってきた今、
練習(準備)をした先に大会があり、
準備をするから結果を残せるということを、
私は選手たちに、現地コーチと一緒に伝えていきたい。
10月30日|同僚の無断欠勤に思うこと
今日も今日とて、同僚の体育教員の無断欠勤。
目の前には生徒たちが続々と集まってきたので、
体育教員のことを待ってもいられず、
整列してもらい、出席を確認し、ウォーミングアップを始めた。
単なる遅刻かと思っていたが、来ないのでメッセージを送った。
「鍵は持っている?」
すると、電話がかかってきた。
「明日からの遠征の準備をしている。鍵を取りに来い」と。
イライラするけど、目の前には生徒たちがいる。
生徒たちに体を動かしてもらうことが重要事項だ。
「OK」とだけ伝え、ウォーミングアップを進めた。
ちなみに、彼から「授業にいけない」ことを事前に共有されていない。
つまり、無断欠勤。
忙しいのは分かる。
でも、その遠影の準備って、授業のない空いている時間にすればよいのではにないか。ってか、そもそも、授業に来ないなら、そう伝えてほしい。
彼は謝らない。そもそも生徒を放置して、自分の中での優先事項を進めることが悪いことだと彼らは認識していない。
先生が来ないから、生徒たちは教室で自習している様子を
私の学校ではたまーに見かける。
やらない、頑張らないのは自分のミステイクではなく、
給与の問題だという。
しかし彼らは、きっと給与をもらっても
いかに自分が楽するのか
頑張らなくていいのかを考えて仕事を進めるのだろう。
ルワンダ人の仕事のマインドと日本人の仕事のマインドを
足して、二で割れば、完璧なのではないだろうか。
悶々としながらも、目の前の生徒たちに向き合う日々・・・
残りわずかであることは分かっているものの、やっぱり下がる。
10月31日|タレント発掘・育成プロジェクトの大会へ!
9月に開催予定が予算の関係で延期。
10月上旬に開催予定がマールブルグ病の影響で延期。
そして、ようやく明日から
ルワンダのタレント発掘・育成「ISONGA」プロジェクトの
合同練習兼大会が始まる。
National Sports Talent Weekとして
ルワンダの南部県・フイエで開催される。
今日は移動日。
相変わらずのルワンダぶりを今日も発揮していた。
生徒証の作成、バスの手配、出場選手のリスト作成
ユニフォームやシューズの準備・・・(笑)
何もかも直前だが、仕方ない。
それで間に合ってしまうのもすごいんだけど。
予定時間を2時間ほど遅れて、選手と共に出発!
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途中、活動先の元校長とばったり遭遇!!
先週は彼から電話があり、今週は実際に会えるという偶然に
何度も驚いてしまう。
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生徒たちも彼に会えたことの喜びが大きく、バスの中が大変盛り上がった。
明日からの試合に向けて、モチベーションが上がる瞬間だったと思う。
無事に到着し、選手が宿泊する学校に送り届けた。
今日はゆっくり休んで、明日からに備えようと思う。
11月1日|勝つことにしか興味のないコーチたち。
今回のスケジュールは、
午前:合同トレーニング
午後:大会
午前中は全種目のコーチが集い、ミーティングが行われた。その後、突然の大雨で、午前のトレーニングが中止になり、午後の試合に向けて、出場者リストの取りまとめなどを行うことになった。
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午後からの試合で選手は大健闘した。
「勝つことよりも、挑戦すること!その結果として、勝利がある!」
この大会期間、選手にはそう伝えてきた。
現地コーチや、普段全く練習に来ない同僚の体育教員は
勝てる可能性のある選手にしか声をかけないし、ケアしない。
「私の選手は〇〇と〇〇と〇〇だ」って・・・。
すべての選手を平等にサポートする気が一切見られなかった。
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モヤモヤしながらも、目の前の選手たちをサポートすることに尽くした。
試合は終わり、結果は以下の通り。
男子100m 1位,4位,6位
女子100m 2位
男子1500m 2位,4位
U16の選手しか出られないはずの今大会では
オーバーエイジの選手が多く出場していた。
選手もコーチもそのことを把握しているのに、誰1人として声をあげない。
フェアプレーという考えはないに近い。
勝てるなら何をしてもいいと思っているコーチが多すぎる。
「これがアフリカだから。」と言うけど
国際大会でそのアフリカルールは通用しない。
そもそもスタートラインに立つことができないなんて
選手でなく、コーチに責任がある。
きっと選手は深い傷を負うことになる。
でも、きっと、彼らはそんなことは考えないのだろう。
目先の勝利にこだわっているのだから。
この大会の目的はなに?
次世代アスリートのタレントを発掘して、彼らが国際大会で活躍できるようにサポートしたり、フェアプレー精神、目に見えないスポーツの価値を伝えるためのものであったはずなのに。
何度も何度も経験してきたけど、一生慣れない
というか、慣れたくない。
11月2日|選手が教えてくれた、嫌われる勇気
オーバーエイジの出場以外にも、
勝利にこだわるコーチたちは、決められたルールを守らない。
ルールは何のためにあるのか、彼らは理解していると私は信じている。
それでも、ルールを守らないのは、なぜなのだろう。
本大会では、一選手につき出場できるのは二種目までと決められていた。
それなのにも関わらず、あるクラブの選手は四種目出場していた。
今日はフィールド種目、やりなげと幅跳びの試合が行われたのだが、
出場予定のない選手が「あの選手4種目出場してるよ。そんなのありなの?」と聞いてくれた。
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私と現地コーチは、事前に二種目しか出場できないことを選手たちに伝えていた。だから、選手もそのルールはしっかり把握してくれていた。
現地コーチに話したものの話を流された。
選手に言われたなら、私が動くしかない。
そう思い、テクニカルダイレクターにそのことを正直に伝えた。
「どこかのチームの選手が4種目出場しているけど、ルールは一選手につき、二種目までですよね?」
すると「それは、おかしい。明らかなルール違反だ。そのチームはこれ以降の試合には出場できないように対応する。」と話を聞いてくれて、コーチ・審判に対して「ルールを違反しているチームがある。ルールはそもそも覚えているか?ルールは一選手につき、二種目までだ。それを踏まえて、ルールに反したチームの結果はなしにする。」と即座に対応してくれた。
間違ったことは何も主張していないけど、私は他のコーチから責められる覚悟で、テクニカルダイレクターに伝えた。
ルワンダでは、告げ口する人は嫌われることは分かっている。
それでも、なぜ責められる覚悟を持てたのか。
それは、選手のためだ。
言いにくいことなんてたくさんある。
オーバーエイジのことも、フライングを気にしないことも
時間短縮のために、1つのレーンに2名の選手を走らせることも
選手へのリスペクトのかけらもないコーチ・審判優先の試合運営に
ずっと腹が立っていた。
地位が上の人には何も言えないくせに、選手には威張り散らかす彼らの姿に
ずっと腹が立っていた。
今日、はじめてテクニカルダイレクターに自分がモヤモヤしていた
ルワンダの試合運営、ルール違反について話すことができた。
彼は「なんのためのルールなのか。彼らが陸上競技の発展を妨げている。
そういうコーチがいたら、発展していかない。」と意見を伝えてくれた。
私が言ったとて、コーチ・審判の意識や行動は何も変わらない。
「外国人のくせに、何もルワンダのことを知らないくせに、何様だ?」と
きっと思われるだろう。
ルワンダは良くも悪くもトップダウンな組織が多い。だからこそ、トップの彼らを動かすことが全体の意識を変えることにもつながる。
今までならこんなこと絶対できなかった。
彼らに嫌われるのが、どう思われるのかが怖かったから。
そんな自分を変えてくれた、勇気をくれたのは選手たちだ。
罪悪感は全くない。嫌われたっていい。
どう思われたってどうでもいい。
それで、選手が救われるのであれば、それでいい。
納得いかないことばかりだし、呆れてしまうことばかりだけど
私は選手のためにやれることを精一杯頑張ろう。
11月3日|「コーチ、僕のメダルは?」
本日は朝から200m,800m,3000m,4×100mリレーが行われた。
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オーバーエイジも多い中で、選手は大健闘した。
本当にほんとうによくがんばった。
そして、他のスポーツ種目の選手もスタジアムに集まり、閉会セレモニーが行われた。
スポーツ省の新大臣から、フランス開発庁のプロジェクトダイレクター、フイエのメイヤーまで来賓された方々も多く、本プロジェクトの大きさをより一層感じた。
今回の閉会セレモニー、私は恐れていることがひとつあった。
それは、メダルが用意されていないこと。
昨年はメダルの数が足りておらず
一部の選手がメダルをもらうことができなかったのだ。
そして、今回。
団体種目の優勝チームにトロフィーが贈られる中、
陸上競技とサイクリングの個人種目のメダルは用意されていなかった。
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メダルを受け取ることができなかった陸上競技の入賞選手たち -
具体的に言うと、銀メダルと銅メダルは用意されていたが、金メダルだけ用意できていなかったらしい。それも、人数分あるかどうかのチェックは行われていないらしく、きっともらえない選手もいたのだろう。
予想的中。
いやいや、昨年から何も学んでいないどころか、それ以下。
800mで驚く結果を出して、3位に入賞した選手に
「コーチ、メダルは?」と聞かれて、思わず泣きそうになった。
素晴らしいプロジェクトだと思っている。こうしたプロジェクトがスポーツを発展させるきっかけになることも分かっている。
でも、大切なことを見失っているように思える。
それっぽいことをして、中身を詰め切れておらず
とりあえずやっているようにしか思えない。
なんのためのプロジェクトなのか?
だれのためのプロジェクトなのか?
そんなことを考えていたら、
あっという間に任地に到着していた。
選手もさすがにお疲れモードだった。
遅い夜ご飯を食べて、コーヒーを淹れて
今、この日記を書いている。
この3日間通して、どれだけ歯を食いしばっただろう。
悔しいけど、私にはまだまだ実力が足りていない。
未熟な存在であることも理解している。
だからこそ、本当に意義のある活動や研究を通じて
ルワンダの体育・スポーツを発展させる一助になりたい。
おわり
何だか今週はイライラ、モヤモヤしてばかりの1週間でした。
活動期間も90日を切り、もうすぐで終わりを迎えようとしています。
そんな今だからこそ、改めて、私はボランティアとして派遣され、彼らに伝えられることは何か、そもそも、なぜこの場所にきて、活動しているのか、来週はそんなことを考えながら、過ごす1週間にしたいと思います。
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この量食べてて、笑ってしまった。
今が良ければいいっていうのはわかるけどさ、長生きしようよ
病んではいません!
むしろ、ポジティブです!
悩みながらも、その悩みを心の脇に置いて、
その時その時の時間を最高に楽しめるようになったのは
ここにきてから成長したことのひとつです。
それでは!