心を満たすしあわせな時間
一日の中で一番ほっとするしあわせな時間。
私にとってそれは、手作りの夜ごはんを食べる時間。
仕事終わりに一息ついて、「今日も頑張ったなぁ」と自分をいたわる時間。
友人と食べる外食ももちろん美味しくて楽しいけれど、たまにだからいい。その特別感もスパイスになる。
落ち着くのはやっぱり家で食べる手作りのごはん。
「手作り」であることも、私にとってはしあわせ度を高める重要な要素の一つ。
そう認識したのは、一人暮らしを始めてからだ。
実家暮らしをしていた頃は毎晩母の手作りごはんを家族みんなで食べることが当たり前で、日常だった。
料理好きの母が作る料理はどれも美味しくて、いつもごはんの時間が楽しみでたまらなかった。
学生時代、塾などで帰りが遅くなる時は帰宅時間に合わせて母が料理の仕上げをしてくれた。「出来立てを食べてもらう」ことが母のモットーで、帰宅が遅い時も焼きたて、揚げたてのあったかくておいしいごはんを食べていた。
そんな環境で育ったからだろうか。
私にとって手作りごはんを囲う食卓はしあわせの象徴で、一日を締めくくるのに欠かせないものになっていた。
社会人になって数年経ち、一人暮らしをするようになると、そのことをより一層感じるようになった。
仕事で忙しい日々が続くと、自炊ができないこともある。
そんな日は牛丼を食べて帰ったり、スーパーで買った惣菜を食べたりする。
そういう日は、お腹が満たされてもどこか満たされない。
ひとりで淡々と食べるから、食べること自体が作業になってしまう。
味がおいしくないわけではない。でも、どこか虚しくて寂しい気持ちになるのだ。
実家にいた時は日常になっていて気づかなかったけれど、手作りのごはんはお腹だけではなく、心を満たしてくれるのだと知った。
手間暇かけて作られたごはんには愛情がこもっている。目には見えないけれど、その愛情は確かに存在していて、食べる人の心を満たしてくれる。
母の手作りごはんには遠く及ばないけれど、自炊にも心を満たすパワーがある。
それはきっと、自分を労い、食べたいと思ったものを作る過程に自分への愛情が込められているから。
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