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ミックステープ 03 B面:3曲目 What Were We Thinking / Tyvek(アメリカ) The TAPE 03 - side B

ミックステープ:パート3、B面の3曲目。

https://www.mixcloud.com/kiichi-ogura/komemx-the-tape-03-side-b/

  1. My Dear Pig / Cocco

  2. Radio Puppet Show Love / Pete Willson & the Rooks

  3. What Were We Thinking / Tyvek

  4. Easy Fun / gglum

  5. Party / Prophet

  6. Sex, Violence, Suiside / Amaarae

  7. Remember / TNT

  8. Black Cloud / Converge

  9. For Tomorrow / Doug Tuttle

  10. ghosts / yeule

3. What Were We Thinking / Tyvek

タイヴェックはミシガン州デトロイトを拠点に活動するローファイ・ガレージ・パンク・バンド。この手の音楽になじみのない人には名前すら聞いたことがないだろう。一方、この手の音楽好きでたまらない人には、まさに完璧と評したくなるに違いないバンドである。

この手とは、まずチューニングもおろそかなバンドセッティングと、マイク一本で、いやラジカセで隣の部屋から録ったのかというこもった音質。ヘロヘロなのに突然狂ったようにシャウトするボーカルと三味線のようなギター。おまけに周囲との協調などお構いなしに突き進む演奏陣。

こんな音楽ををヨシとするかしないかは聴く者の勝手だが、少なくともヨシとする一定層が存在するからこそ、彼らの手法は表現として成立している。

当然ながら私もヨシとする勢の一角であり、青春期に(そんなのがあったのかどうかも定かでないが)ソニック・ユースの洗礼を受け、B級のスクラップ・メタルや、70年代ハードロックのごもごもとした感じに惹かれる理由もわからないまま、初期ベックやパルプフィクションの主題曲など、これらに共通するこのナイスな感じはなんなのか、自分で説明がつかずもやもやしていたものである。

そんな折、たまたま出会ったのがガレージパンクのディスクガイドだった。

シンコーミュージック ディスクガイドシリーズ ガレージパンク

長くなるので詳細は避けるが、とにかくこの本によればパンクの震源地はMC5とストゥージズであり、どちらもデトロイトであること。もっと遡れば、65年から66年にかけて、全米各地のティーン達が民家のガレージで粗暴なロックンロールを録音し(これも50年代のロックンロールや60年代のローリング・ストーンズの影響)、ローカルでしか流通しなかった大量の7インチレコードの存在が震源地であることがわかった。

そんなこんなで、バッド音質をヨシとする文化は、ロックンロール誕生以来普遍的に一定数存在していたということであり、また、現在に至るまで脈々とその音楽は受け継がれてきた、ということなのである。それまで孤独だった私は一辺に沢山の兄弟に出会った境地であったことは決して大げさでは無い。

さて、ここで取り上げたバンド、タイヴェックは、今日現在において、その表現手法の急先鋒であると断定したい。その音楽性はもはや説明不要だろうが、ちょっとしたフレーズやフックのセンスが尋常ではないのだ。その感覚はデビューアルバムから今作までまったく鈍くなることはない。

彼らの音源はサブスクで聴けるものはほんの一角で、ほとんどが入手困難なフィジカルメディアだったりするので全て聞き通すことはハードルが高い。それでも、もしもこの手の音楽が好きなら、Discogs をあたって1つ入手してみることをオススメしたい。こんな音楽だからこそ、堪能するならアナログでだ。

https://www.discogs.com/ja/artist/1062635-Tyvek?srsltid=AfmBOorZLcJqUicdFp9-cJZESDBgtrXd7ICFEEadQD8Kimk3rj4OLswu


次回は4曲目、ロンドン発の新生、グラム(gglum)を紹介する。

ミックステープはMixcloudで公開中。

The TAPE 03 side B


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