ミックステープ 03 B面:1曲目 My Dear Pig / Cocco(日本) The TAPE 03 - side B
ミックステープ:パート3、B面のオープニングトラック。
https://www.mixcloud.com/kiichi-ogura/komemx-the-tape-03-side-b/
My Dear Pig / Cocco
Radio Puppet Show Love / Pete Willson & the Rooks
What Ware We Thinking / Tyvek
Easy Fun / gglum
Party / Prophet
Sex, Violence, Suiside / Amaarae
Remember / TNT
Black Cloud / Converge
For Tomorrow / Doug Tuttle
ghosts / yeule
1. My Dear Pig / Cocco
Cocco の1998年リリース、セカンドアルバム「クムイウタ」収録の「My Dear Pig」。Coccoによるシンプルなピアノ弾き語りが、アナログ質感のフィルターを通過して届けられる小曲である。
タイトルの「My Dear Pig」が示すとおり、かわいい子豚への愛を表明する歌で、間奏の縦笛もたまらなくかわいい。だが、歌詞に耳を傾けると、Cocco が名曲「Rainig」でもモチーフとして取り上げた「血」というワードがここでも登場する。
かわいい豚=おいしい肉というパラドックスを「愛」の一語の下に同居させることで、これはもしかしたら母による我が子への執着と支配についてのメタファーソングでは、と思わせる怖い仕掛けとなっている。
また、特徴的なのは、いわゆるサビの部分だ。この曲でもっとも胸がぎゅっとなる一節を英語で歌うことで、生々しさにフィルターをかけ、キャッチーなポップソングに仕立てている。冒頭でも触れた、曲全体をアナログ質感のフィルターにかけている点も、同じ効果を狙っているように感じる。
前回の下津光史「The Bird Song」についての記事で、日本語詞と英語詞が同居することの効果について触れたが、Cocco の「My Dear Pig」についても同じテクニックが採用されているといってよいだろう。
小難しいことを言ったが、何度も口ずさみたくなるメロディーが大好きで、当時、この曲を知っている人に出会うと一緒にサビを歌ったりしてみた想い出が今でも蘇る。ある意味、こんなにもゾッとする内容の歌をこんなにも愛すべき存在として成立させるアイデアとセンスに、まんまとハマってしまったということかもしれない。
ところで、曲の最後が「チャンチャン」的に締め括られることで「冗談よ」とにっこりと笑う Cocco を垣間見る気する、といったら買いかぶりだろうか。怖さばかりクローズアップしてしまったので、触れておきたい。
次回はちょっとマニアックな3ピース、ピート・ウィルソン&ザ・ルークの一曲。
ミックステープはMixcloudで公開中。