ミックステープ 03 B面:5曲目 Party / Prophet(アメリカ) The TAPE 03 - side B
ミックステープ:パート3、B面の5曲目。
https://www.mixcloud.com/kiichi-ogura/komemx-the-tape-03-side-b/
My Dear Pig / Cocco
Radio Puppet Show Love / Pete Willson & the Rooks
What Were We Thinking / Tyvek
Easy Fun / gglum
Party / Prophet
Sex, Violence, Suiside / Amaarae
Remember / TNT
Black Cloud / Converge
For Tomorrow / Doug Tuttle
ghosts / yeule
5. Party / Prophet
プロフェットはサン・フラン・シスコのミュージシャン。ベイエリアを拠点に80年代前半から活動し、84年には1枚のアルバムを自主制作していた。
だが、その名が知れ渡るには2000年代になるまで待たねばならなかった。
きっかけの人物はLAの名門レーベル、Stone Throw の創設者、ピーナッツ・バター・ウルフ。プロフェットのアルバムをサン・フラン・シスコのショップで発掘したところから復活のストーリーが始まる。
アルバムの名は「Right On Time」。今で言うブギー・ファンクの作品だ。作風は後述するとして、今聞いてみても聞き所満載の音楽であるにも関わらず、リリース時は全く日の目を見ることはなかった。「誰もチャンスをくれることはなかった」と言うプロフェット自身だが、「集中をし続け、道を外すことはなかった」と述懐する。
さて、ピーナッツ・バター・ウルフはこの強烈な、誰も知ることのないレア盤をひっさげて自らのDJセットに組み込んでいた。その後、プロフェットを自身のライブに招いて自己紹介をさせるなど、徐々に自らのコミュニティーに引き込んでゆく。
そして、2013年、レーベルメイトのビートメイカーでありプロデューサー、さらには歌までこなす現代ブギーファンクの担い手、マインドデザイン(Mndsgn)をプロフェットと引き合わせることになる。
こうして2018年、マインドデザインとの共作名義で、プロフェットにとっては実に34年ぶりとなるニューアルバム「I Wanna Be Your Man」を発表。それと共に「Right On Time」の音源までもが世に放たれ脚光をあびる。
この「Right On Time」という作品。私のような、いつでもロックのフィルターごしに音楽をのぞき見る人間にとって最高の音なのだ。他のメディアでもまず引き合いに出されている80年代のプリンスはいうまでもなく、この時代の音として様々なジャンルの面影がクロスオーバーする。
音にラフ感があって、シンセポップがかったロックとしても、エレキがかったシンセポップとしても聴ける。音の埋め尽くし方、執拗ぶりはスクリッティ・ポリッティを想起させる。同時代の初期シンセ&テクノでいうと、キャバレー・ヴォルテールの「The Covenant The Sword and the Arm of the Lord」や、クリスティーナの「Sleep It Off」、もしくはちょっと時代は遡るがマリアンヌ・フェイスフルの「Broken English」に共通する、目眩を起こさせるような熱気がサウンド全体に立ちこめている。
今回ピックアップした「Party」は、そんな2人のブギーファンクに対するアプローチが交接した一曲。「Right On Time」からのリメイクが3曲を占めるアルバムの中で、特に大好きなトラックでもある。多ジャンルのミックステープの中に未来的でクールな臨場感を演出してみたくて選曲した。
次回は6曲目、R&Bシンガーの放つパンクチューン。
ミックステープはMixcloudで公開中。