昨日が毎日でいいのに
昨日は下北沢で下北gripというライブだった。
1部2部3部の3ステ。3ステは初だ。
前日は眠れなかった。(実際には30分くらい寝た)
「ショートスリーパー」のようなかっこいい特殊能力は持ち合わせていないため、普通に疲れが取れなかった。僕はただの眠れない人だ。
正直、3ステは怖くなかった。
終わってから1時間はネタ合わせできるし、自分が書いた台本なので自分の本音みたいなものもあるので覚えたりしなくてもできる。
眠れなかったのは睡眠が下手だったのもあるが、
どちらかというと「お客さんの呼び込み」が初だったので震えていた。
いつだって未知は怖いものだ。大学時代アパレルのバイトで面接に通ったのはいいが、初出勤の時は眠れなかった。未知だからだ。
1部。この前あまり反応がなかったネタを新しいボケを足してやる。
このボケは高校生の頃の僕が好きだろうな。って感じのボケだった。
最近の僕は当時の僕に向けてネタを作っている。いろんなものに触れてちょっとずつ僕じゃなくなった僕に僕を思い出してもらうためだ。これがウケたらそれはもうお客さんが僕。袖がウケたらそれはもう芸人さんが僕。相方がこの台本を見て面白いと思ったら僕は僕とネタをしていることになる。
僕僕僕。あれ?「僕」ってこんな漢字だっけ?撲だっけ?あれ僕?
入り時間に集められると点呼があった。
初めて出るライブということもあり、面識のない芸人さんばかり、
また未知だ。こわ。
点呼が終わると少し時間があり、その後また集められて、
「呼び込み」の説明があった。
本日のメインディッシュの「未知」だ。
ほう、これは素晴らしい未知だ。シェフを呼んでくれないか。
下北に慣れてないこともあり、場所を教えられても分からなかった。
おろおろしていると先輩芸人の方が丁寧に教えてくれた。
ありがたい。今度は教える側にならなくちゃな。
「呼び込み」
全力でやった。アパレルの時の声出しを思い出し、
裏声での「いかがでしょうかぁ↗」を笑顔でやってたが、
結果、一人も集客できなかった。マジか。
とぼとぼと楽屋に帰った。本当にこれにはとぼとぼだった。
このエリアは周りもあまり呼び込めてなかったので、
呼び込みが難しいエリアなのかもしれない。
そう言い聞かせ、自分を保つことにした。
芸人の友達が欲しくて、楽屋でいろんな人に話しかけていると、
福岡出身のピン芸人さんがいた。
僕も長崎で九州出身なので嬉しくてたくさん話した。
僕は福岡に住んでいたので福岡の話で盛り上がった。
僕は福岡時代「七隈」という駅の近くに住んでいたのだが、
その人は「七隈」にある大学に通っていた。
これはめちゃめちゃ嬉しい!
嬉しいので誰かにこの嬉しさをシェアしたいと思い、
相方に紹介した。すると相方は
「僕は山形出身です」
と名乗り始めた。知るか。
今、九州トークしてんだぞ。
ほらめっちゃ困ってる。どうしてくれんだよ。
twitterを交換できた!やった!
出番前、普通に緊張していた。
いつも本当に怖いな君は。
相方は本当に繊細なので、
僕が分かりやすく緊張してるとさらに緊張感を与えてしまう。
僕は出番前ギリギリまでイヤホンを付けて平静を装っていた。
が、その裏では普段聞かないヒップホップを聴いて、
ビビってる自分をオラつかせていた。よわ。
1部のネタ。これはあまりウケなかった。
周りもウケてなかったように感じたので、
演技を完璧に出来たことを褒めようと思った。
2部。これには前のライブのアンケートで「良く分からない」
共演した芸人さんに「なんだこのネタ」と言われた。
片方にセリフが一切ないというめちゃめちゃなネタをかけた。
でも僕は一番好きなネタ。好きだからかけた。いけ!
このネタは余り練習が必要ない。
僕が本音を大きな声で叫ぶネタ。
相方はただただ跳躍するだけ。
むしろ練習しすぎると相方が消耗してしまう。
なんだこのネタ。
2部の点呼で集められると1部のアンケート用紙があった。
5段階評価の3が並べられていた。
悲しくはないが虚しい気もした。
けど一個だけ5があった。
「アパートめっちゃ面白かったです」
うわ、確かに僕がいた。嬉しい。
愛犬に古アパートの名前つけて4世帯を住まわせる奴な。
僕も好き。
3にも
「世界観は好き」だったり
「先生がたかし君の話を親身に聞いてるのが好き」
だったり嬉しい意見が多かった。嬉しい。
自分でも演技良くなってきてると思うので嬉しい。
1も一つあった。
「もっと元気よく」
はい!頑張ります!
実は2部の「呼び込み」もゼロだった。
これみんなどうやってるんだ。
頑張ってるのに。
強引にやらなきゃダメなのか。
僕には多分それできないぞ。
gripになにも貢献できてないぞ。
とぼとぼ楽屋に戻った。
2部の出番前もヒップホップを聴いていた。
ヒップホップなんて聴かないのに。
あいみょんもきっと怪訝な目で僕を見ている。
気持ちをオラつかせ、舞台に上がる。
これはウケないかもしれないけど。
好きだからやるんだ。信じてるぞ。
結構ウケた。
今までのウケで五本の指に入るくらいウケた。
取りたいところ全部でちゃんとウケた。
本当に信じてよかった。
ネタ中にハプニングが起きた。
跳躍している相方が下北スラッシュのステージの段差から
足を踏み外し、そこで笑いが起きた。まずい。
なんとかしなければと思い、咄嗟にアドリブを入れた。
「そこ段差あるから気をつけてね」
ウケた。やった!
コント中にアドリブを入れれるほど演技に余裕が出てきた!
これは成長!去年は台本を読むことで精一杯だったのに。
そしてオチでもちゃんとウケることができた。
これが一番嬉しい。
ありがとう。ここには僕しかいなかった。
3本目は新ネタ。
当日の深夜1時に完成したネタ。
セリフを覚えられない相方には少し酷だが、
プロならこれくらいやってもらわないと困る。
とスパルタ精神で書いたネタ。
呼び込み前にまたアンケートを見た。
最低評価が3で、後は4と5だけだった。
友達がたくさんできたみたいで嬉しかった。
写真は見れなかったが、
アンケートの内容は
「ジャンプだけで笑いを取れるのすごい」
嬉しい。これ一本勝負のネタだから。
「一番わかりやすくて面白かった」
分かりにくいってこの前言われたのに。
多分、演技が良くなって見やすくなったのかな。
twitterで書いてくれた人もいた。
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その後、呼び込みをした。ゼロだった。
嘘だろ。これ早く何とかしないと。
とぼとぼ楽屋へ。
3部の本番前。練習で一度もうまくいかなかった。
相方がセリフを間違えたり、
相方がセリフを間違えるのに構えすぎて、
僕がセリフを間違えたりしていた。
多分、一日でネタを仕上げようとしたのが間違ってた。
合ってたかもしれないが早すぎた。
本番前、普段聴かないヒップホップを聴く。
これ恒例行事になりそうだ。
普段から聴いてるヒップホップになりそうだ。
本番、ややウケだった。
相方は完璧にやってくれた。
お前、その感じで本番に強いのか。
僕のツッコミより転校生の八木沼君がウケてた。
僕が養成所の頃にピンのコントで使った赤ちゃんがウケた。
ありがとう赤ちゃん。ありがとう八木沼君。
こちらのアンケートはまだ見れていない。
結果はどうであれ、
ありがとう赤ちゃん。ありがとう八木沼君。
本番後、道具を出してくれたスタッフさんにお礼を言った。
「道具多くてすみません」
いや、謝ってた。びっくり。
絶対にありがとうのほうがいいのに。
衣装から着替えてると
そのスタッフさんが話しかけてきた。
「やば、なんかやったかな」
とおもった。
いつも何らかをミスってるとこういう考えになる。
どうやらtwitterに上げる写真を撮ってくれるようだ。
いいのか!?一人たりとも呼び込みできてないのに!
パシャリ
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なんだその顔。マジか。
マジで撮ってもらえると思ってなかったので何も考えてなかった。
ポーズもコメントも。撮る前に相方に「よし着替えるぞ。」と言って僕は私服に、相方は衣装に着替えた。どういうことだ。すれ違っている。
コメントはそういうことだ。
その後、主催者の方と少しお話した。
「遠くから来たんですか?」と質問されて、
「あっ、遠いです。日野です。相方は北綾瀬です。」
というと「近いですね、大阪から来た方もいますよ。」
そのレベルの話だったのか。と少し後悔した。
その後、何となく「地元はどこですか?」と聞いた。
すると「長崎です。」と答えてくれた。
東京で長崎の人に会ったことがないので聞き間違いだと思い、
もう一度聞きなおすと、「長崎」だった。
「エッ!!!!僕も長崎です!!!!」
と興奮してしまった。
それほど東京で長崎の人に会うのは難しい。
「長崎のどこですか!?」
興奮して少し声がデカくなってたかもしれない。
「市内です!!」
「エッ!!!僕も市内です!!!」
「エッ!!!」
2人でのたうち回っていた。
東京で同じ長崎市出身を見つけるという行為は
プールに落としたコンタクトレンズを見つけるより難しい。
「高校どこですか!!!?」
もう多分、舞台で出す声だ。
「○○です!!」
「僕もです!!」
「エッー!!!!!!!!!!!!!」
本当に嬉しかった。
今日ずっと嬉しいな。
僕の代の校長が主催者さんの頃は普通の教師だったらしい。
世間は広いようで狭い。
下北grip。今月は29にも3ステ入れてる。
すごく楽しみだ。
その後、仲良くさせてもらっている
「虹色LOVE」というコンビの近江くんとご飯に行った。
今日たまたま下北で別のライブに出ていて、
たまたまネタ合わせの公園が被ったのだ。
たまたまが重なると人はご飯に行きたくなる。
(相方の白鳥くんはバイトだった。残念)
近江くんは熱い。
お笑いに対して熱い情熱を持っている。
話を聞いてるだけでこちらも熱くなっていく。
お笑いの話はヒートアップし、ご飯だけでは飽き足らず、
そのまま銭湯に行った。銭湯でもずっとお笑いの話をしていた。
相方はついてこられず、銭湯を楽しんでいた。
帰りの電車も近江くんと同じだったので
電車内で近江くんとお笑いの話をしていた。
こんなにも長くお笑いの話をするのは初めてだが、
全然、会話が尽きなかった。
お別れしたとき、
あー、もっと話したかったのにな。って思った。
僕はこんなにお笑いのことを話せるんだなって思った。
99.9999%草野仁
草野に等しい