外湯めぐりの温泉街「城崎温泉」~悠久の歴史とジオパークが育む癒しの湯~
こんにちは。今回は兵庫県北部の城崎温泉(きのさきおんせん)をご紹介します。実はここ、1300年もの歴史を持つと言われる伝統的な温泉街。豊岡市内の円山川(まるやまがわ)沿いに位置し、古くから“湯治場”として多くの人に愛されてきました。
そして最近では山陰海岸ジオパークの一部として、地形や自然との関係にも注目が集まっています。では早速、城崎温泉が織りなす歴史・自然・文化の物語を紐解いていきましょう!
1. 城崎温泉ってどんな温泉地?
1-1. 1300年の歴史と外湯めぐり
• 外湯(そとゆ)巡りが定番
城崎温泉には「七つの外湯」と呼ばれる共同浴場があり、旅館に宿泊すると外湯の無料パスが付くのが一般的。ゆかた姿でそぞろ歩きしながら湯めぐりするスタイルは、城崎温泉の大きな魅力です。
• 開湯伝説
開湯約1300年前とも言われ、温泉の起源や“鴻の足湯伝説”(傷を負ったコウノトリがこの湯で傷を癒したという話)などが語り継がれています。
1-2. 豊かな自然に囲まれた立地
• 円山川(まるやまがわ)と温泉街
豊岡市内を流れる円山川の近くに温泉街が広がり、周囲には柳の並木道や風情ある石橋が架かるなど、昔懐かしい湯治場の雰囲気。
• 静寂とにぎわいの両面
日中は観光客でにぎわいますが、夜になると川沿いに灯がともり、ゆかた姿の人々がそぞろ歩く情緒的な姿が楽しめます。
2. 歴史と文化の深み
2-1. 江戸時代のにぎわい
• 温泉番付に名を連ねる湯治場
江戸~明治期には“有馬・城崎・道後”などと並び称されるほど有名な温泉地として栄えました。街中に数多くの旅館が軒を連ね、文化人や文豪が滞在した記録も。
• 文豪・志賀直哉との縁
大正時代を代表する作家・志賀直哉が、城崎温泉での湯治中に名作『城の崎にて』を執筆したエピソードは有名です。
2-2. 昭和以降の発展
• 外湯リニューアル
時代とともに共同浴場がリニューアルされ、観光客向けにサービスが充実。七つの外湯それぞれに“神話”や“伝説”、ご利益にまつわるテーマが設定されていたりと、巡り歩く楽しみを演出。
• 近代化と自然災害
平成16年(2004年)には台風23号による円山川の大規模氾濫が街を襲い、甚大な被害を受けましたが、その後の復興により街並みは見事に再生し、より魅力的に。
3. 山陰海岸ジオパークとのつながり
3-1. 地形・地質と温泉
• 近接するリアス式海岸と山岳地形
城崎温泉は山陰海岸ジオパークの一角に位置し、海岸部から少し内陸に入ったところに温泉街が広がります。
• 火山活動とは異なる成り立ち
一般的に温泉というと火山との関連をイメージしますが、城崎は地殻の隙間を通じて湧き出す“非火山性温泉”の一例です。日本海形成や地殻変動の歴史を背景にしているとも言われ、ジオパーク的視点から温泉の成り立ちを学ぶのも興味深い。
3-2. 観光資源としてのジオパーク
• “海食崖+温泉”というゴールデンルート
旅行者は鳥取や兵庫の海岸線をドライブ・観光し、香美町や豊岡の自然を満喫したあとに城崎温泉で湯に浸かる、というプランが定番。
• 自然・歴史学習プログラム
地元の案内人がジオパークの地質や自然災害、歴史を解説しながら、温泉街を巡るツアーが行われることも。城崎温泉がどのようにして湧き、なぜここに街が発達したのかをより深く理解できる。
4. 自然のめぐみと産業の結びつき
4-1. 円山川が育む農産物&ブランド食
• コメや野菜の生産
円山川流域は豊かな水と肥沃な土壌で、米や野菜の生産が盛ん。旅館や飲食店では地元食材を使った料理が提供され、観光客を魅了。
• 但馬牛・松葉ガニなど
兵庫県北部は“但馬牛”や日本海で獲れる“松葉ガニ”の産地でもあり、城崎温泉の宿泊プランでこれらのブランド食材を楽しむ方も多い。
4-2. 温泉街と商業・文化の発展
• おみやげ屋・外湯周辺のにぎわい
城崎温泉街は飲食店や土産物店が軒を連ね、地域産業の拠点としてにぎわいを見せる。
• 絵になる風景でSNS映え
大谿川沿いの柳並木や和風建築が、現代観光のSNS時代にもマッチし、ファミリーからカップル、海外旅行者まで幅広い層を呼び込む。
5. まとめ
1. 城崎温泉の歴史と外湯文化
• 開湯1300年と伝えられ、江戸時代には湯治場として、昭和以降は“外湯めぐり”で観光客を魅了。文豪・志賀直哉ゆかりの地としても有名。
2. 山陰海岸ジオパークとの関係
• 日本海の形成や地殻変動といった地質史の恩恵を受け、“非火山性温泉”が湧く。ジオパーク観光と温泉宿泊をセットにした旅行プランが人気。
3. 自然と産業のシナジー
• 円山川流域の農産物、近海の松葉ガニ、但馬牛など地域の食材が宿泊客をもてなし、温泉街を中心に豊かな観光産業を形成。
• 温泉街そのものが風情あふれる景観を保ち、ジオパークの学習や体験プログラムとも連携しつつ地域経済を支えている。
もし兵庫・但馬地方を訪れるなら、ぜひ山陰海岸ジオパークの景勝地巡りと合わせて城崎温泉に泊まってみてください。夜にはゆかたでそぞろ歩き、外湯を巡りながら“情緒”と“癒やし”をたっぷり味わう――それは単なる観光地を超え、“自然と文化が織りなす歴史”を体感できる特別な体験になるはずですよ。