但馬の隠れた名湯「湯村温泉」 ~美人の湯と山陰海岸ジオパークが織りなす癒やしの風景~

こんにちは。今回は兵庫県北部、新温泉町(しんおんせんちょう)にある湯村温泉をご紹介します。実はこの温泉地、「美人の湯」と呼ばれるほど肌にやさしい泉質が評判で、地元では昔から湯治場として親しまれてきました。
そしてその背景には、山陰海岸ジオパークの地形・自然が深く関わっています。いったいどんなストーリーがあるのか、さっそくのぞいてみましょう!

1. 湯村温泉ってどんな温泉?

1-1. 開湯約1150年、伝説の湯

• 歴史深い温泉地
開湯は平安時代初期(848年)とも伝えられ、約1150年の歴史があるといわれています。地名のとおり「新温泉町」という自治体名も、ここ湯村温泉を中心に誕生したもの。
• 荒湯(あらゆ)の源泉が高温
湯村温泉のシンボルでもある「荒湯」は、約98℃という高温の湯が湧き出し、温泉街で“ゆで卵”を作ったりする風景が名物です。

1-2. “美人の湯”の由来

• 泉質と肌への効果
単純泉がベースで、肌にやわらかく、スベスベになると評判。美容やリラクゼーションを求めて訪れる女性客も多い。
• ドラマや映画のロケ地
映画『夢千代日記』などで一躍有名になり、温泉街の情緒が全国に知られるきっかけとなりました。

2. 歴史のあゆみ

2-1. 平安時代からの湯治場

• “薬効の湯”として繁栄
平安期の文献や伝承には、湯村温泉を“神秘の湯”として病を治し、疲れを癒す場所と描かれています。
• 江戸時代には庶民の湯治場
当時は武士や商人が旅の道中に立ち寄り、“湯治”を目的に滞在することも。徐々に旅館や湯宿が形成され、温泉街が確立していきました。

2-2. 近代以降の再興

• 昭和~平成の温泉ブーム
戦後は交通整備や観光ブームで多くの旅館がリニューアルし、湯村の名は県外にも広く浸透。美人の湯と呼ばれるようになったのもこの頃。
• 自治体合併で“新温泉町”
2005年に湯村温泉を含む地域が合併し、新温泉町が誕生。温泉を核とした観光振興がますます進んでいます。

3. 山陰海岸ジオパークとの関わり

3-1. 地形・地質と温泉の成り立ち

• 火山ではない“非火山性温泉”
湯村温泉も城崎温泉と同様、火山帯とは異なる地質的要因で温泉が湧出しています。地殻の隙間から湯が上がってくるタイプで、高温の泉源が特徴。
• ジオパークエリアの一角
兵庫県北部は山陰海岸ジオパークに含まれ、リアス式海岸の美しい海岸線や、内陸部の山々・地質を楽しめる環境が整っています。
温泉もまた“地球の営み”の一部という視点で、ジオパーク的に学ぶ機会が増えています。

3-2. 観光資源としての“温泉×自然”

• 温泉→海鮮→温泉のゴールデンルート
近海で獲れる松葉ガニや魚介類を楽しみつつ、山陰海岸ジオパークの海や山をめぐり、最後に湯村温泉で癒やされる――そんな観光プランが人気。
• 環境保全と地域活性
ジオパークが掲げる“保護と活用”の理念に沿って、温泉街も自然環境との調和を意識。清流や植生の保護活動や、荒湯周辺の景観整備などが進められています。

4. 自然との結びつき

4-1. 円山川の上流域からの恵み

• 水と土の循環
湯村温泉が位置する新温泉町は、円山川の上流部にも近く、豊かな水系と土壌が稲作や野菜づくりを支えています。旅館の食事に並ぶ地元野菜も、山陰海岸と内陸の山岳が育んだもの。
• 地質による泉質の違い
地下深くまで水が浸透し、高温・高圧状態で地表に戻ってくるため、湯村の泉質は単純泉ながら高温というユニークな特徴をもつといわれています。

4-2. 冬の雪景色と温泉の組み合わせ

• 雪見風呂の醍醐味
日本海側の豪雪地帯でもあるため、真冬には一面の銀世界に。露天風呂から眺める雪景色は格別の趣。
• スキー・スノーボード客も取り込む
周辺にはスキー場もあり、ウインタースポーツ後に温泉であたたまる流れが定番。四季を通じて自然を楽しめるのが湯村温泉の強みです。
5. 産業とのむすびつき

5-1. 旅館・観光業

• 湯村温泉街の宿泊施設
旅館やホテル、民宿が多く、昔ながらの“湯治目的”からリゾート感覚の宿までさまざま。
• 外湯や観光スポット
荒湯の足湯や散策路、地蔵湯など共同浴場めぐりも可能。周辺の飲食店やお土産屋さんが観光客を賑わせています。

5-2. 地元食材とコラボ

• “温泉×食”コース
カニや但馬牛、地元野菜など“山と海”の恵みを一度に味わえるプランが人気。ゲンゲ(魚)やホタルイカの干物など、山陰らしい海産加工品も。
• 商品開発・PR
温泉卵や温泉まんじゅう、さらには温泉熱を利用した加工食品など、湯村ならではの商品開発も盛んです。

6. まとめ

1. 湯村温泉の歴史と魅力

• 開湯約1150年とも言われる古い湯治場で、“荒湯”の高温源泉や美人の湯として有名。昭和~平成の温泉ブームで一躍脚光を浴び、いまも多くのファンが訪れる。

2. 山陰海岸ジオパークとの縁

• 自然地形によって生まれた非火山性温泉で、日本海沿岸のリアス式海岸や山岳地形とあわせ、観光ルートを形成。地質や地殻変動を学ぶジオパーク視点で、温泉をさらに深く楽しめる。

3. 自然&産業の調和

• 冬の雪景色や川の景観に溶け込む温泉街は、地域の食文化(カニや但馬牛など)とセットで観光資源に。住民や自治体が環境保全と観光振興を両立させる取り組みが進んでいる。
そんな湯村温泉、日常の疲れを解きほぐし、自然の雄大さを再確認させてくれる場所です。山陰海岸ジオパークの山々と海を巡ったあと、湯村の湯にゆっくり浸かってみれば、きっと“地球の力”と“人々の温もり”を同時に感じることができるはずですよ。冬には雪化粧の温泉街で“雪見風呂”も味わえるので、四季折々の絶景を求めて訪れてみてはいかがでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集