兵庫・但馬の自然が育む極上「但馬牛」 ~山陰海岸ジオパークと共に紡がれる歴史とおいしさ~
こんにちは。今日は、日本を代表する高級和牛のルーツともいわれる「但馬牛(たじまうし)」を取り上げたいと思います。兵庫県北部、いわゆる“但馬地域”で古くから大事に育てられてきた黒毛和種の一系統が、いまや「神戸ビーフ」「松阪牛」などを支える“素牛”としても有名。
そのおいしさの秘訣の一端には、実は山陰海岸ジオパークという豊かな自然があるんです。自然×歴史×人の知恵が融合した但馬牛の物語、いざ探っていきましょう。
1. そもそも「但馬牛」ってどんな牛?
• 黒毛和牛の一系統
いわゆる“和牛”のうち、兵庫県北部(但馬)周辺で純血を守り続ける牛を指して「但馬牛」と呼びます。
• ブランド牛の“素牛”
“神戸ビーフ”“松阪牛”など、全国的に名を馳せるブランド牛にとっては欠かせない存在。優れた肉質が認められ、全国の肥育農家から引っ張りだこです。
お肉の特徴は?
• きめ細かな霜降り: 脂の融点が低く、口に入れた瞬間にジュワッと溶けるのが和牛の魅力。
• 赤身の旨味: 適度に引き締まった赤身と柔らかな脂のバランスが抜群で、“口溶けがいいのに食べ応えもある”のが最大の醍醐味。
2. 山陰海岸ジオパークとの結びつき
2-1. 豊かな自然が牛を育む
• 高原気候と牧草地
但馬牛の故郷、兵庫県北部は日本海に面しながら山地が連なる地域。夏は比較的涼しく、冬は雪も多め。こうした気候を活かし、牧草の育成や放牧が昔から盛んでした。
• ジオパークの地形
山陰海岸ジオパークの一角に位置する但馬地域は、リアス式海岸や標高差のある地形があるため、ミネラル豊富な水や草資源が揃いやすい環境。
つまり、“自然がエサと水をたっぷり与えてくれる” からこそ、健康的な牛が育つのです。
2-2. 観光とブランド力アップ
• “ジオ”+“グルメ”の相乗効果
観光客が山陰海岸の雄大な海岸風景を楽しんだあと、但馬牛のステーキや焼肉に舌鼓を打つ――そんな旅のプランが定番化しつつあります。
• 自然のストーリーを発信
「火山や地殻変動で生まれた地形・水系」「草原放牧の伝統」などを組み合わせた“自然×歴史”の物語を打ち出し、世界に向けて“産地ならではの付加価値”を広める試みも。
3. 但馬牛の歴史と現在
3-1. 農耕用から食用へシフト
• 昔は“役牛”
江戸~明治時代にかけて、但馬牛は田んぼを耕す農耕用や荷運びに使われていました。筋肉質で粘り強い性格が重宝されていたんですね。
• 明治以降
肉食文化が全国に浸透すると、“実は肉質がすごくいい!”と注目され、食肉用としての価値が一気に高まりました。
3-2. 厳格な血統管理
• 純血を守る
他県の牛を交配に混ぜない方針を続け、地域内で血統を維持する仕組みが長年受け継がれてきました。
• ブランドとしての確立
改良と選抜を重ねることで、高級和牛としての基礎を築き、今や世界に誇る日本の味と言えるまでに進化。
3-3. 産業と課題
• 地域経済の支え
繁殖農家・肥育農家・直売所・レストランなど、和牛産業は但馬地域の大きな経済基盤。しかしながら後継者不足や飼料高騰などの問題も抱えています。
• 環境負荷への対応
畜産は地球環境負荷の議論から逃れられない時代。持続可能な飼養管理やエコロジカルな農業との連携が今後のカギとなりそうです。
4. まさに自然と人の結晶「但馬牛」
振り返ってみると、但馬牛の魅力は、単なる“高品質な肉”というだけではありません。
• 大地の力: 山陰海岸ジオパークの複雑な地形や良質な水、豊かな牧草地がベース。
• 歴史と文化: 農耕用から肉用へのシフト、血統管理を頑固に守ってきた生産者の努力が結晶したもの。
• 地域の未来: これからの観光や海外展開など、ブランドを活用する動きと、持続可能性をどう両立していくか――新たな挑戦が続いています。
5. 最後に
もし、兵庫県北部の但馬地域へ足を運ぶ機会があれば、山陰海岸の美しいジオパークの景観を楽しむだけでなく、ぜひ「但馬牛」を味わってみてください。一口頬張れば、自然×文化×歴史の奥深さを感じずにはいられないはず。
さらに、地元の方にお話を聞くと、牛の飼育や地域への想い、ジオパークとのつながりなど、興味深いストーリーが次々と出てくるかもしれませんよ。
自然に守られ、先人の知恵で磨かれた「但馬牛」は、これからも山陰海岸ジオパークの豊かな“土台”とともに世界中へと、その魅力を広げていくことでしょう。