祝・生誕100年! (後編) 100回目の「太陽回帰図(ソーラーリターン)」から探る、ピアソラのスペシャルイヤー!
お陰様で今回で10回目
ありがとうございます。
前回に引き続き、アストル・ピアソラ生誕100周年祭🎉
今回はその100回目の「太陽回帰図(ソーラーリターン)」を見てみましょう!という試み。
誰でも一年に一度は誕生日が巡ります。この一年、どんな年になるのか、その時のホロスコープで一年間の動きをみることができます。
故人のものでも?とお思いでしょうが、没後に脚光を浴びるアーティストや、何かがきっかけでブームになったりすることよくありますよね。そんな時はこの「太陽回帰図」が大いに気になったりするわけです。
ピアソラもご多分にもれず、没後数年の1996~1997年に大きなブームがありました。火付け役となったのは、ヨーヨー・マ 、クレーメル 、 バレンボイム といった世界的ソリストによるトリビュートアルバムのリリースです。 ヨーヨー・マの「プレイズ・ピアソラ」(1997年)は世界的に大ヒット。ピアソラの名をまた一段と轟かせました。日本でも某酒造メーカーのCMに、このアルバムトップに収録されている「リベルタンゴ」が起用され、お茶の間にも浸透されることとなったのです。
ではこの年のピアソラの「太陽回帰図」はどんなんだったか、
気になりますよね~~~、うん!うん!
ではではヘ(^o^)/100年ものを見る前にこちらも検証してみることにしましょう~!1997年のピアソラの「太陽回帰図(ソーラーリターン)」です。
1921年3月11日 午前2時 マルデルプラタ 生まれ
ホロスコープを見るときは、前回の「出生図」を見たときと、同じ段取りです。
まず、アセンダントのサインのチェック!その年の大きな流れのテーマをみます。
3区分の「活動」「柔軟」「不動」のどのサインであるか?
「活動」(牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座)サインなら、新しいテーマに向けてチャレンジする年、
「柔軟」(双子座・乙女座・射手座・魚座)サインなら、テーマを状況に合わせて臨機応変に対応していく年、
「不動」(牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座)サインなら、テーマを維持、継続していく年、と大きく捉えることができます。
さて、ピアソラのこの年の「太陽回帰図」のアセンダントは「双子座」でした。
「柔軟」サインになります。
その支配性である「水星」は「9ハウス」に居ます。
これは、アセンダントで得たテーマが「9ハウス」に流れ込むということになります。
ひとつひとつ見ていきましょう。
●アセンダントの「双子座」は、タロットでいうと6番目の「恋人たち」のニュアンスと似ています。流行をつくりだし発信、多様性に富むサインです。
「テーマを状況に合わせて臨機応変に対応していく年」ということでみれば、ピアソラはタンゴ愛好家だけのものに留まらず、jazzやクラシック奏者にも演奏され、はたまた日本ではお茶の間で鼻歌されるに至るまで知名度がアップし、リスナーの多様化と共にブームが巻き起った年、というのは合点がいきます。
●「水星」は、コミュニケーションや知識、知的好奇心を表す天体、
「9ハウス」は、言ってしまえば「世界中」。
●「太陽」が配置されているハウスは、その年の活動拠点と言われます。こちらも「9ハウス」で「世界中」がWキーワードになっています。なおかつ MC にカルミネート(MCに近い)してますので、この年だけのものではなさそうなインパクトがあります。それを証拠に、先日、生協のCDや書籍のカタログに 、ピアソラ生誕100周年記念イヤーと題して、このヨーヨー・マの「プレイズ・ピアソラ」が注文できるようになってまして、一瞬、なぜ本人のものを売らないのだ?!と疑問に思いました。しかし本人のアルバムで一枚だけを挙げるとしたら何があるだろうと。。。とにかく日本人は「リベルタンゴ」が好き、まずこれがトップに入ってて、それでいてみんなが知ってるヒット曲がまんべんなく入ってて、そんな都合のいいオムニバス的アルバムあるかな。。。。と考えたところ、
ないわ・・・(^_^;) ないのかい!
ですので、まぁね。。。と頷いてしまったほどでした。しかし、このアルバムのすごい所は、ヨーヨー・マ以外は皆、ピアソラと共に演奏していたタンゴの匠奏者、「太陽」とオポジション(180度)に居る天底近く(アンギュラー天体)「火星」=「匠奏者たち」の底力も見て取れる。24年経った今でもピアソラのとっかかりアルバムとしての金字塔を打ち立てた所以は、ここにもあるような気がしてなりません。
高揚した「金星(美と芸術)」も煌びやかに加勢、タンゴ=古くさい=今時だれが聴くんだ?という、これまでの認識が一変し、タンゴって素敵なんだ♬という意識が世間に浸透し始めた大きなきっかけになった年の「太陽回帰図」、面白いですね~!
さあ!いよいよ100回目の方をみていきましょう。
アセンダントは「牡羊座」、タロットでいうと、そう!もうおわかりですね「皇帝」や「ワンド」のニュアンスと似ています。現実的な実現を目指し、積極的に打ち出していくサインです。「活動」サインなので、新しいテーマに向けてチャレンジする年、になっています。
そして、その支配星の「火星」(双子座)は「2ハウス」に流れ込んでいます。
「2ハウス」というと「お金の流れ」ですので「財団」と捉えてみましょう。この100周年祭という節目にピアソラ財団 のサイトは新デザインに刷新され、最新情報や、今後の活動、役割など、理念とビジョン掲げています。(←双子座の火星=情報発信、意欲的)
サイトによると、今年の活動の一つにはコンペ開催や、質の高い音楽教育の提供、奨学金などの財政支援計画、作品に関するあらゆるアーカイブ資料のデジタル化などなど、財団の活動は今に始まったことではないですが、この節目を機に芸術遺産の普及活動における、新しい試みやさまざまなセクターとの連携、構築、その中でイニシアチブを取ろうとする姿勢が感じられ、アセンダントの「牡羊座」である新しいテーマに向けてチャレンジしていく年、と合致しているように見受けられます。
お膝元であるブエノスアイレスの世界三大オペラハウスと言われるコロン劇場において、2週間にわたり本国の著名奏者によるガラコンサートが開催されました。これは1983年のコロン劇場での伝説的アストルピアソラコンサートを復活させるために、財団の後援で開催され、アジアくんだりにおいても無料配信でその模様を鑑賞することができました。いや~ありがい、ありがたい♬
この辺りは、その年の活動拠点である「太陽」が「11ハウス」でオープンシェア状態になってます。
以下、ざっとのプログラム内容:作品年代によって様々な奏者が出演。毎日違う内容です。ピアソラと共演していたバンドネオン奏者、ギタリスト、歌手、バイオリニストのご子息(お父さんそっくり)や、ピアソラのお孫さん(ドラム奏者)のジャズバンドも出演。財団の副総長でもあるお孫さんはこのコンサートのキュレーターをお務めになったそう。財団は文化継承、音楽教育(SDGs)をスローガンに掲げているということもあり、タンゴ専門育成学校の講義ライブなんかもありました。バンドネオン奏者も多く、中堅どころが力強い。音楽の土壌がアルゼンチンなのだな~としみじみ。千秋楽のひとつに御年81歳のピアニストが印象的でした。手振り身振りが軽妙なピアノパフォーマンス、大ベテランのタンゴピアニストの演奏とくれば滅多に見られるものではないでしょう。ピアソラを通してタンゴ文化というものをきちんと見せてもらったような感じです。
その「11ハウス」の「太陽」には「魚座」が本拠地の「海王星」もぴたっと「合」しています。本人が望んでいたであろうこれ以上ない場所(コロン劇場)でのこのコンサートというのがこの「合」の意味のような気もするし、世界のあらゆる所で開催される100周年祭の象徴として世界に向けて決定付けた感じも「合」としてあるでしょう。高揚した「金星」も加わり、本場(本拠地)ならではのコンサートを、「11ハウス」のオープンシェアによって見せてもらったのではないかと思います。
でもって「2ハウス」の「火星」と「10ハウス」の「冥王星」「土星」とソフトアスペクト(「すんなり角度」と呼んでます)。「木星」も並び、どれをとっても大きな組織とのつながりを予感させます。例えば「土星」なら学校とか劇場、「木星」なら公共的な組織、「冥王星」は国家という見方もできるかもしれません。しかも「冥王星」は前出と同様パターン、MCに近く(カルミネート)、一過性のものとは思えない永続性を感じます。
まとめ:
ピアソラの芸術的遺産は、「財団」がイニシアチブをとりながら、企業や様々なセクターなどの連携によるオープンな活動と文化継承に力を注ぎ、次世代に伝えられていくでしょう。と、考えることができる100回目の「太陽回帰図」いかがでしたか。
「一年の計は元旦にあり」とはよく言いますが、西洋占星術を活用できる皆さんは、「太陽回帰図」で一年の計を立ててみるのはいかがでしょうか。「一年の計はお誕生日にあり」ですね!
文・イラスト:加藤マカロン
【著者プロフィール】
加藤マカロン
イラストレーター&占い師。公式サイトは、マカロンタロットweb 。カードの基本的な意味などを知りたい方は、『マカロンタロットで学ぶタロット占い』(駒草出版)をご参照ください。SNSは、Twitterアカウント (@katomacalon)、facebook などでも情報発信中。