2021年の音楽ストリーミングで起きていた事と3つのお願い
去年に引き続きこのタイミングで、2021年日本の音楽シーンで大きく変わったこと、何が起きていたのか一年を振り返りながら、私なりに感じたことです✍最後に私から3つのお願いもあります🙇🏻
(去年書いたnoteもぜひ...!)
それでは2021年の振り返りいきましょう!
📌 週間1位を取らなかった曲が年間1位獲得
📌 UGCのパワーがさらに強大に!
📌 TikTokからのヒットは継続 Shorts / Reels も
📌 "拡散" の意味のアップデート
📌 来たるべき全国総サブスク時代がもうすぐ...
📌 Web3.0への可能性
Billboard Japan / US Billboard 共に週間1位を取らなかった曲が年間の1位に
日本ではBillboardの年間チャートHOT100の1位は優里の「ドライフラワー」、USでは1位 デュア・リパの「Levitating」
共に一度も週間1位を獲得していません。
にも関わらず長期にわたりチャートインしつづけ、最終的に年間1位を獲得することとなったのです。
日本とUSでBillboardの指標換算の違いがあるとはいえ、
- YouTubeチャンネルやSNSでエンゲージメントし続けた優里さん
-2019年のDon't Start Nowリリース以降ずっとFuture Nostalgiaしてるデュア・リパさん
2者の年間1位の獲得の仕方はBillboardチャートの在り方そのものをシニカルに、かつクリティカルに真意を問いかける出来事です。
デュア・リパなんてアルバム発売以降1年間ずっとその作品にまつわるコンテンツを出し続けていますからね...😅 ずっとFuture Nostalgiaしてるんですよ。ずっとですよ。信じられますか?ほんと(最高)
週間1位ももちろん大切ですが...
アーティストとして愛される曲(ないしアルバムプロダクト→デュアの場合)をリリース後にいかに丁寧に広げ、寄り添い、裾のを広げていくか。
改めて考えさせらた出来事です。
UGCのパワーがさらに強大に アーティスト/権利者側の収入源として成長
昨年に続きUGC(User Generated Contents)のパワーは強力でさらに強大になったのが今年。特にYouTube上でのコンテンツIDがマッチした楽曲からのUGCマネタイズはアーティスト・権利者にとっても大きな収入源となってきています。
象徴的な出来事をご紹介します
📍左は週次のミュージックビデオランキングを合算した年間ランキング
📍右は週次の楽曲ランキングを合算した年間ランキング
普通に見ているとなんか似たランキングだけど何が違う?🤔ってなりますよね。左は単純な公式MVの再生回数の順位。右は公式MVに加えて
☑楽曲が使用されているユーザ作成動画
が含まれています。つまりオフィシャルチャンネルから投稿されるMV(複数ある場合はその合算)+Contents IDがマッチしているユーザー作成動画+アートトラック再生の合算ランキングとなります。
(集計方法詳細はGoogle公式の下記参照)
※ドライフラワーはMVが尺違いで2種あり 楽曲ランキングでは合計されています。
それではここでAdoの「うっせえわ」でその違いを見ると...
MVランキング:143,169,154回
楽曲ランキング:254,094,697回
その差1億回...この1億回の差はどこから来たの?....というお話です🔎
これの多くが前述の「楽曲が公式に使用されているユーザー作成動画」つまりContents IDがマッチしているUGC動画の数です。
YouTube上のクリエーターによる「歌ってみた」動画が産み出した1億回にも及ぶUGCの再生回数。素晴らしい出来事ですね。
※この曲はアートトラックでも2000万回ほどは国内ありそうな予想ですがそれを加味しても膨大な数です。
BTSのButterは複数のMV(ダンスパフォーマンス動画やTV歌唱の映像もMVとしてアップしているため)その合算の数字となっています。
このランキングへのアプローチの違いが見て取れてとても印象的ですね。
実はこうやって差を見ると Chinozoの「グッバイ宣言」も...
MVランキング:58,889,725
楽曲ランキング:98,155,887
4000万回前後という膨大なUGC動画での再生があったことがみてとれます。
クリエーターの純粋な気持ちが生み出すUGCの輪と、そこから広がる新しいマネタイズの未来はアーティストにとって大きな柱となっていくでしょう。
TikTokからのヒットは今年も継続 さらにShorts / Reels も加勢
2020年に続いてTikTokからの音楽ヒットは継続中。
みんなが時間を過ごして閲覧してるアプリで "認知" され、YouTubeへ行き、コメント欄でコミュニティ化、サブスクで音楽が聞かれていく流れは今年も健在。
TikTok上での楽曲の再生数のみのランキングではChinozo「グッバイ宣言」が32億回再生という驚異的な数字を達成しました。
今年はYouTubeによるShortsもローンチされ、Shortsからヒットにつながる例も出始めています。
嵐の二宮和也さんが開設した「ジャにのちゃんねる」で投稿されたShortsでは、P丸様。の「シル・ヴ・プレジデント」を使用。
既にTikTokでは大ヒットの曲でしたが、これをきっかけにさらにストリーミング再生回数とUGCが増える出来事となりました。
今年デビューした なにわ男子 はYouTubeショート、TikTok共に積極的に活用し、MVも複数作成することでMV指標を顕著に伸ばし、Billboard HOT100チャートを2週制覇したことも印象的でした。
Instagramが提供するReels。ここでkiki vivi lilyの「Lazy」は20,000件以上の楽曲使用動画が作成されています。
使用されている動画をみるとTikTokやShortsとはまた全く違う場所として"Instagramらしい形"で投稿が広がっているのもとても印象的です。
音楽が、いつ、誰の、どんなシチュエーションに寄り添っていくのか。
ショートムービープラットホームの住み分けも進みそうですね。
"拡散" の意味のアップデート
2021年の出来事をお話してきましたが、今年大きくアップデートされてきたことがあります!
では、みなさんに質問です...
自分の好きなアーティストの投稿をRTしたりすることで「拡散」協力し、それが手助けになっていると思っていませんか!?
間違っていないのですが、今の時代には少なすぎるような気がします。
今は 自発的に能動的に行動する何か へと変遷しています。
2020年末のnoteでも書きましたが、
「流行るか流行らないかはみんなの手に委ねられています」
みんな一人一人の純粋な気持ちに委ねられて、アーティストの音楽を広げる、動画・音楽ストリーミングの回数を増やす方法が
「みんなの手の中(スマフォ)にあるのです」
アーティストを応援したり、拡散したり、その行為はより自発的な能動的な行動を伴ったものに移ってきています。
今年の流行語である「TikTok売れ」も根幹はココですよね。
アーティストを応援する側もその意識のアップデートが必要ですし、アーティスト側も「自発的に能動的に行動してもらいやすい状況を作れているか」という意識のアップデートが必要です。また当然ですがそのアーティストを支えるマネージメント、レコードレーベルの意識改革も同じくです。
2021年は、その視点があるかないか大きな差がでた一年となりました。
いくつか例を見ていきましょう...
Little Glee Monsterのツイートはファンに自発的に1人1人が能動的に行動して投稿することを期待しているように見えますよね!
NOAさんも同じくです。単なる先々の予定をカレンダーにしているだけではありません、受け取り手側に心の準備と、投稿、創作への時間を生み出させることが大切なのです。
優里さんも同じくですね。
そしてYOASOBIさんは武道館までの団結力と並行して、1人1人の能動的な行動に呼びかけているように思えます。
UGCの投稿を訴求し、自発的なTikTok投稿をしやすい状況を作り出すためにオフィシャルが素材を提供するのも大切です。
森崎ウィンさんの気持ちが伝わってきますよね!
人々からの自発的な投稿はSNSだけではありません。それはnoteという表現方法かもしれません。アーティスト側がファンの方(クリエーター)からのアルバムレビューをまとめるマガジンを公開することも可能ですね。
文章だってその1つです。
来たるべき全国総サブスク時代がもうすぐ...
音楽ストリーミングの総量(日本国内での総再生回数)としては去年比で1.3〜1.5倍では成長できています。2020年は音楽ストリーミング有史としては去年は強烈な一年でしたが、21年も大きく鈍化はせずにさらに順調な成長をみせました。
ただし各配信サービスの会員数はもうそろそろ天井が見えてくるのが来年再来年あたりでしょうか。
ではここで、noteを読んでくださってるみなさんに3点私からお願いです!(突然...💦)
1️⃣ 音楽サブスクユーザーの皆さんは無料会員で音楽を聴くのではなく有料会員になって聴いてあげてください。そうすることでアーティストへの還元額を上げるお手伝いができます。(それがベストな解決法かどうかという議論はさておき)有料会員になって音楽を聴いてあげてください。
そしてもう1点...
2️⃣ 来たるべき全国総サブスク時代にあたって、ご年配の方にもサブスクを使って音楽を聴くことを勧めてあげてください。ご両親や祖父母の方にも。お子さんから、お孫さんから教えてあげてください。
今なら各社(Apple Music、Spotify、LINE MUSIC、YouTubeなど)のファミリープランなんかも良いかもですね。
昔 懐かしい曲、今はほとんど揃っていますよ。
そして最後に...
3️⃣ そんなサブスクのことをお勧めするときに
音楽を聴く / 音楽を使う 楽しさをセットで伝えてあげてください。
「聴く」と「使う」のセットでお願いしたいです。
お正月ご実家で「音楽最近聴いてる?」って久々にお話してみませんか。
そしてUGCとしてInstagramのミュージックスタンプを使ってストーリー投稿する、TikTokで音楽をつけて投稿する、Shortsもあるよ、Reelもあるよ。アーティストの曲ってそこだと今は自由に使えるんだよ!そんな楽しさについても話してみませんか。
音楽は「聴く」と「使う」のセットです。
もちろんそのためにもアーティスト・レーベル側は全国総サブスク時代を見据えて、わかりやすく聴く方を増やしていく努力が必要になっていきます。
それこそ来年以降の業界全体の大きな課題です。
手越祐也さん、わかりやすくエデュケーションされていますね....🙌
2年近くも前に、とってもわかりやすい内容で投稿しているAyaseさん...🙌
U-NEXTで無料で視聴可能なライブ生配信、その視聴方法を亀田誠治さん自らがトライする日比谷音楽祭の事前映像。年齢層高めの方も想定されていて、スマフォからの画面とPCからの画面が両方わかりやすく作られいます。優しさを帯びたデザイン。
亀田さん自身がその役を努めていらっしゃるのも想いを感じますね。
全国総サブスク時代に向けてすべき事が見えてくる気がしますよね!
Web3.0への可能性
世界ではWeb3.0型の新音楽サービスどんどん増えていますね。
来年もみんなで勉強していきましょう💦
DAO型の組織形成、メディア、ファンダム、クリエイティブチームも増えてきそうですね。
いずれにせよWeb3.0によって、プロダクトの商品価値を高めることだけではなく、アーティストのバリューそのものを高める方法となるのか、ファンを増やす手段となるのか?がもっとも大きな課題でしょうか。
健やかなアーティスト活動を目的とした場合、アーティストがファンを増やしていく作業(ファンエンゲージメント)とコンテンツ(楽曲や映像)を真摯に作り続けることは変わらないですね。
手段は益々変わって行くかもしれませんね。
最後に..
2020年がストリーミングにとって激動の年とすると、2021年は次のフェーズへ移行をしているかしていないか、大きく別れた年となりました。
1人1人の能動的な自発的な何か...
音楽が常に寄り添いながら聴かれる時代だからこその力。
音楽は「聴く」だけの時代から
「聴く」そして「使う」のセットで楽しむ時代へ
2021年もすべての音楽ファンに健やかな未来が来ますように。
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