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世の中へ「届ける努力」〜大切なことは、やさしく、おもしろく〜|人成塾(プロデューサー・小国士朗)

ノンフィクション作家・小松成美がゲスト講師を選び、次の時代を生きるためのヒントをありのままの言葉で学ぶ『人成塾(じんせいじゅく)』。今回の対談ゲストは、認知症の人がホールスタッフをする「注文をまちがえる料理店」、がんを治せる病気にするプロジェクト「deleteC」など、ユニークで温かくエキサイティングな企画を生み出し続けているフリープロデューサーの小国士朗さんです。

周りの人たちを巻き込みながらヒット企画を次々と生み出す“アイデアの源”はいったいどこにあるのでしょうか?

NHKのディレクターとして、「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」「プロフェッショナル 仕事の流儀」など数々のドキュメンタリー番組の制作に関わってきた小国士朗さんに、番組制作で培われた考え方や仕事の流儀、人の心を動かす企画の考え方を伺います。
<文>奥村サヤ<編集>池田アユリ,yasu

小国さんの著書:笑える革命~笑えない「社会課題」の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説~


NHK入社のきっかけは、21歳でのベンチャー失敗だった

小松:小国さんは元々NHKのディレクターというお立場ですね。NHKに入ったきっかけや理由というものはあるのでしょうか。

小国:僕は2003年に入社しているのですが、そのころは超就職超氷河期と言われていました。だから就職しようとは考えていなくて、インターネットテレビのベンチャーを立ち上げたんです。でも共同でビジネスしていた仲間がお金を持ち逃げしちゃって、1,200万円の借金を背負うことになってしまったんです。

小松:すごい話ですよね。それは何歳のときですか?

小国:21歳のときです。それから借金を返済するために就職活動をはじめました。興味のあったテレビ業界を志望しましたが、フジテレビやTBSのような民放の募集は締め切っていて、唯一残っていたのがNHKだったんです。しかも締切は2日前。僕はお笑いが好きで民放ばかり観ていたので、NHKを最後に観た記憶は『おかあさんといっしょ』というくらい。でも、借金を返さないといけなかったので、急いでエントリーシートを書きました。

小松:動機がそこですか?

小国:そこです(笑)当然番組を見ていないから面接で話せることがないんですよ。だから、「実は聞いてほしんですけど……」ってお金を取られた話をしました。面接官がプロデューサーだったこともあり、その話を面白がってくれて、続きの話は2次面接で、また続きは3次面接でというように進んでいきました。

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