あなたから買いたい、と思うのはなぜなんだろう。
最近、以前にも増して、オンラインでモノを買ったり、サービスのオーダーをしたりすることが多くなった。Amazonでポチポチ、友人の自社サイトやオンライン販売サービスで、ポチポチポチポチ…。このコロナ禍において、私なりのささやかな経済活動。
そういえば、最近何買ったっけ?と思い、その商品やサービスを思い浮かべてみた。すると、あることに気づいた。それは「消費者の隠れた購買心理」。
多分、それはコロナ以前から変わらないことのようにも感じるし、意外とみんな意識してないけれど、同じような傾向があるんじゃないかなとも思った。そして、いま苦戦している人と、そうでない人の違いは、まさにそこにあるんじゃないかな、とも。
ということで、今日は少しまじめなおはなし。あくまでも、私の仮説です。
1.最近私が買ったもの
お出かけできない、テレワーク疲れ、そんなストレスもあるんでしょうが、まぁ、それにしてもよく買っています、利用しています。
その後の考察につながるので、以下にそれらを列記してみます。どれも、私がオンラインでオーダーしたものです(ここでは、日用品などの生活用品は除く)。
○子供の自宅学習用のドリル(う○こドリル)
○自分用の気分があがる下着
◎短パンコーヒー
◎いつも買っている定番のコーヒー豆
◎伊豆長岡温泉の旅館でつくっている美味しいお惣菜
◎母の日のギフト(お菓子の詰め合わせ&ボタニカルキャンドル)
◎冬物コートのクリーニング
◎春夏用のワンピース、ノースリーブのブラウス
◎リーディング&創作アクセサリー
◎オンラインヨガ
◎布マスク
◎北海道厚岸町のあさり
◎印には、それぞれリンクを貼ってあるので、よかったらご覧いただければと思います。どれも今や、私のお気に入り、おすすめのお店です。
そして、〇印と◎印。あえて分けて書いてるのには、きちんと意味があります。
○印は、Amazon等で購入=商品をもともと知っていて検索すれば普通に誰でも買えるモノ。
◎印は、自社直販サイト、BASEやSTORESなどのネットショップ、Facebook、Instagram、メッセンジャーなどのDMを通じて購入したモノ・コト=直接の友達・知り合い、友達の友達、友達の紹介・おすすめで知って買えたモノ・コト。
数から見ても分かる通り、◎が多い。
服なら○○さん、コーヒーなら○○さん、旅館・ホテルに泊まるなら○○さん。こんなふうに、私の暮らしは、友人たちの(そのまた友人の)仕事、その繋がりで成り立ちつつある。
2.見えてくる、消費者の気持ち。
次は、この買ったモノ・コトたちを、違う視点で分類し、分析してみたいと思う。ここでは、日用品などの生活用品も加えて考えてみる。私が分類したのは、次の3つ。
1.圧倒的ブランドを持つモノ・コト(誰もが知ってるメジャー商品)
例)タオルなら今治、グラスならバカラ など
2.メジャーではないが、作り手や提供者のこだわりや人柄・センスが感じられるモノ・コト
例)私が前段で紹介したようなモノ・コト
3.どれを買っても品質や性能に大きな差がないモノ・コト
例)ティッシュペーパー、洗濯用洗剤 など
例えば、あなたが今、自宅で使っている洗濯用洗剤。商品を見ないで、どこのメーカーの、なんという商品を使っているか言えますか?
では、もし浮かんだとして、その商品をどんな理由で選んで買っていますか?この洗剤は、○△よりも汚れがよく落ちる。どの洗剤よりも衣類を白くする。本当でしょうか。今は、どの商品も性能が素晴らしく、どの洗剤もお気に入りのシャツを真っ白に洗い上げてくれると思います。100均でも見られるように、商品の品質は良いし、そうそう壊れない。商品やサービス自体の性能や品質の差が、どれも無くなってきていると感じます。そうなると、どうなるか?性能・品質がどれも変わらないなら、価格で選ばれる。どんどんコモディティ化していくということ。
ここ最近、観光分野では、個性が光るエッジの効いた素敵な宿が全国各地で増えてきて、私たち消費者を楽しませてくれています。一方で、どこに行っても同じようなサービスや価格帯の金太郎飴のような宿も、残念ながら、まだまだたくさんあります。それは、旅館のHPをみると一目瞭然です。宿名を隠して色々な旅館を見てみてください。料理も部屋もすべて同じに見えます。お客様が、一番最初に訪れるホームページですら、すでに個性がないのです。
はなしが少し逸れました。この3つの分類から見えたことは、以下です。
また、その分類ごとに日用品も含め、今回、私が購入したものを( )書きで、当てはめるとこうなります。
1.圧倒的な安心感、信頼感で選ばれる。
(=○印)
2.作り手や提供者の人柄・センス、商品などに込めた思い、こだわりが重要な判断材料となり、結果的に選ばれる。(=◎印)
3.価格で選ばれる。(=スーパーなどで買う洗剤などの日用品)
なお、言わずもがなですが、どの分類にも共通していえることは、提供されるモノ・コトの品質・性能が良いのは大前提ということです。でも、高品質・高性能だからといって、売れる時代ではありません。どれも品質・性能が良いのは、当たり前なのが、いまです。
さて、あなたが提供する商品やサービスは、普段、そして今、どんなふうに選ばれているでしょうか?良いから売れるは、多分違います。
私が今回買ったのは、すべて
「あなただから。あなたが作ったものだから、提供しているから買いたい」と、思ったモノ・コトだとうことです。そこにはブランド品を買うのと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上の、安心感と絶大な信頼が、そこにはあります。
でも、正直、素晴らしい商品やサービスが、これだけ溢れている現代において、自分に合った商品やサービスを探し出したり、出会ったりするのは、とても大変なことです。私が大好きなコーヒーの、豆ひとつとっても、世の中にどれだけこだわった素晴らしい商品があるか。でも、これだ!と思えるものに出会えた時の喜びは、ひとしお。みんな、そういうものを日々探しているんだと思います。永く付き合える、モノ、コト、そしてそれを届けてくれる人。そんなふうに探している人たちに、どうやって自分の商品やサービスを知って貰うのか。
3.あなたから買いたいと思わせる。
それは、あなたがどんな人で、どんなことを思って、その商品(サービス)を、作り、または提供しているのか、ということを日頃から伝えること、伝え続けることです。コト・モノそのもの自体が良いのは、大前提だと、おはなししました。それ以外の部分が、選ばれる決め手になるのだとしたら、あなたという個性や人柄が、そこに宿っているか、なのだと私は感じました。
特別感(高級という意味ではない)、独自性は、あなたの個性や感性から生まれ、そして提供するコト・モノに、体温や色を宿し、唯一無二になる。どこに行っても買えない、あなたからしか体験できない。そうなると、コモデティ化する余地がなくなる。少なくとも価格で選ばれることは、なくなります。旅館のように、1泊2食付きという同じビジネススタイルでも、地域や規模、オーナーによって、それぞれ個性や独自の世界観を持った宿が百花繚乱、生まれはじめているように。
最後に。
ちなみにそういう意味で、私はいま猛烈に、この方が気になって仕方ない。
勿論、お友達ではないし、会ったことも、共通の友人がいるわけでもない。でも、どうしてだろう。各SNSから滲み出るそのお人柄、掲載されているお寿司の写真が、とにかくより一層美味しく見えてくる。ぜひ、お会いしたくて、そして、この方が仕入れ、仕込み、握るお寿司を猛烈に食べたい。そう、友達の友達じゃなくても、そういうことが起こりうるのが、現代なんです。
私の究極の理想は、自分の消費活動が、すべて私の友達の仕事で完結すること。
きっと、そういう日も近い将来にくるんじゃないかなぁと感じています。