歌集「私の毎日はそれなりにHappy(五)」三十首
121 独り身の寂しさに負けドラマ観る叶わぬ恋の行方知らずに
122 今時は買い物行く意味何処にある豊かな時をコレド室町
123 これ本屋そうなんや先ず本を肴に体験を売れ
124 夢のようそんな仕事はないけれど自分で築けドリームワーク
125 いつからか下勝ちの身はワンサイズ上げた肌着を選ばせている
126 極東の確かなる国ここにあり令和の平和永遠に幸あれ
127 今朝は線路がやたらと叫んでるぜこの軋む音は耳鳴りのようだ
128 でこぼこの石畳みから伝わりし痛み祖国の記憶引き出す
129 寒い冬繋がり続く星空に中島美嘉の声が響くね
130 いつのまに秋の気配は通り過ぎ小田和正よ愛を止めないで
131 東京の孤独な夜は切なくて貴女の声を聴かせてよJUJU
132 奪われた命は誰も戻せないただ亡骸がそこに在るだけ
133 AIに愛は在るかと君が問う機械の僕に答えなど無い
134 葡萄(えび)色の万年筆で海青の音符踊るや楽譜の宴
135 外よりも内を治すや整形の受けた心に宿る笑顔よ
136 デジタルであけおめ嬉し娘たちリアルな年賀ただ失せにけり
137 楽しみに父母が見ていた駅伝を応援するや新妻と我
138 凍てついた闇夜を照らす月明かり別れ言えずに漏らす吐息よ
139 凍てついた街路の樹々に集いしや電気蛍の夜会楽しき
140 震災をあの日あのとき生き抜いた我の記憶を子らに伝えん
141 失った平成を振り返らずに上に頼らずただ歩むのみ
142 最果ての凍土に独り立つ君は生きているのかそうでないのか
143 母が言うセンター試験に降る雪は君咲けサクラ春は目の前
144 住む場所も財も奪われ命までなぜ我だけをかみは責めるか
145 人の道踏み外すから恋なのか踏み外さない愛もあるのか
146 あの頃と繋がる今はいつまでも記憶の中で生き続けてる
147 車両にはマスクの華がさき乱れ咳をするのも命懸けなり
148 温かい雨に煙りし故郷は我の不安を抱いて眠るか
149 人生は努力と汗の積み重ねでも成功は運と縁だね
150 無知は罪とは言うけれど金魚よお前は悪くないのだから
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?