まさにリアル『邦人奪還』ちょっとモヤモヤもあり
まとめ読み。著者に対してのイメージは様々でしょう。でもですね、先日、映画『空母いぶき』も観ましたが、周辺事態で実戦があるかもしれないと考えた時、現場で何が起こるのかを知るためには十分な内容かと思います。現場のリアル感を称賛する向きが多いですが、自分は地政学的にみて真の友人は誰か、友人となるべきは誰かという点について考えさせられました。特に『邦人奪還』は設定を一切変えずに映画化されたら話題作間違いないと思います。
因みに、ややネタバレには、なりますが、気になったのは、部下が指示に従わず、異なる判断をしたため、自らの命はおろか仲間の命まで危険な目に合わせることになるのですが、その点に関する振り返りは書かれていないんですよね。この点がしっくりこない。
判断を違えた部下の性格を上官は把握していた上で、指示を出している。以前の作戦の行動を踏まえていれば、部下が判断を誤るリスクも頭によぎったかもしれない。
小説の中では冷酷になりきれないグダグダな存在が我々だと描いているが、それは本当なのか。プロであったらそうはしないのではないか。読者に合わせてそう話を盛ったのか。
結局、助けた相手も戦闘で命を失うのだから、たらればにはなるが、あの判断は間違っていたとの振り返りが何故ないのか。どうもしっくりこない。
あと、前半のエピソードの敵の遁走の様子がばっさり切られている点もモヤモヤですね。本当は書くことがたくさんあるはずなのに、敢えて書かないようにしている。もっともこの場面で種明かしをすると後半に繋がらなくなってしまうので、これも仕方がないかと。ただ、ここの繋がりをボカしたということは、何か大きなことを隠しているように思える。それが何かまではちょっとわからないけど。