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小説|埋められた芸術

 荒れ地を見て年老いた芸術家は嘆きます。この町で描いた花畑の絵により芸術家の名は世に知れ渡りました。だからこそ再び訪れた町の花々が枯れていたことを芸術家は悲しみます。進む町の開発に花は散ったのでした。

 力なく歩いていると芸術家は少女と出会います。少女はかつて花畑だった荒野へ向かい絵を描いていました。空想上の花畑の絵。芸術家に憧れ少女は画家を志していました。芸術家は心に決めます。余生はこの町で過ごそう。

 芸術家は命果てるまで少女に絵を教えます。芸術家が亡くなると世界中の記者が集いました。町に遺された「この下に私の最高傑作が埋まっている」という立て札が話題に。「掘り出してはならない」との注記も。

 町の開発が止まります。土地を荒らせば芸術家の遺作を汚すことになると人々が町の開発を進める業者と戦ったのでした。それから、幾星霜。かつて少女だった画家は町で描きます。埋められた芸術から芽を出した花畑を。






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ショートショート No.369

前回の小説

あとがき

ミムコさんの企画「妄想レビュー」参加作品。
本作のもととなったすてきな記事は以下です。

#妄想レビュー返答 #ショートストーリー #短編小説 #物語 #読書

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小牧幸助|文芸・暮らし
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