大阪中之島美術館 特別展「すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合」~展覧会#27~
GUTAI「分化」と「統合」の二つの展覧会(続編)
前回、国立国際美術館で開催されている「すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合」について書いた。
この展覧会は、《大阪中之島美術館では具体を「分化」させ、それぞれの独創の内実に迫り、国立国際美術館では具体を「統合」し、集団全体のうねりを伴う模索の軌跡を追う》という共同開催の展覧会だが、正直なところ、国立国際美術館の展示だけでは消化不良というか、物足りなさが残っていた。
そこで、noteにまとめたのを機に、会期末ギリギリの大阪中之島美術館に行ってきた。
結論から言えば、行って大正解。作品一つ一つを理解できたとはまったく思わないが、「人間の内面を物質によって具体的に提示する」という思想を、「具体」に所属するアーティストたちが精一杯模索し、各々の作品として結実させているということが伝わってきた。
今回のnoteでは、写真撮影OKだった作品の紹介をしたい。
吉原治良
吉原通雄
元永定正
白髪一雄
村上三郎
上前智祐
嶋本昭三
正延正俊
堀尾貞治
鷲見康夫
前川強
吉田稔郎
3人のインタビュー映像と作品
会場の最後に、「具体」活動期間の後半に若手メンバーとして加わった3人のインタビュー映像が流されていた。今井祝雄、松谷武判、向井修二の3人である。それぞれの視点から、「具体」というグループの特性や、吉原治良という人物について語られていて、とても面白かった。
「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」と言った吉原治良は、作家たちが持ち込む作品を審査するのに、二つの言葉しか用いなかったという。「ええなー」か「あかん」のどちらかである。その判断理由についての説明はなく、作家たちはその答えを次の作品で示すしかなかった。
松谷武判は作品を吉原に見せた際に、「とれとれのいわしこや」とその新鮮さを誉められたという思い出話をうれしそうに語っていた。
今井祝雄
松谷武判
向井修二
「インターナショナル スカイ フェスティバル」の再現
「インターナショナル スカイ フェスティバル」とは、1960年に「具体美術協会」(具体)が大阪なんば高島屋の屋上で実施した展覧会。「具体」の会員や海外の作家による下絵を拡大して描き、アドバルーンに吊って空中に展示したという。今回の展示は、このフェスティバルの再現である。向井修二、松谷武判、今井祝雄らの作品を含む計7球のアドバルーンが掲げられたとか。
写真撮影ができなかったので、田中敦子や山崎つる子など、目を引く作品の紹介ができなかったが、2023年最初に訪れた展覧会が満足のいくものでよかった。