大阪市の神社と狛犬 ⑪中央区 ⑬坐摩神社行宮~神使の白鷺像~
大阪市中央区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。中央区は、かつての東区と南区が合区となって1989年に発足した新しい区です。大阪市のほぼ中央にあり、上町台地とその西側の地域になります。この区には、大阪府庁などの官公庁街、船場と呼ばれる商業街、ミナミと呼ばれる繁華街などに加えて、大阪城や難波宮跡などの歴史的建造物もあります。
中央区には、生國魂神社行宮を含めて11社の神社があります・・・と前回までは説明してきましたが、今回もう一社、坐摩神社行宮を追加します。
坐摩神社行宮は、坐摩神社元宮ともいわれ、坐摩神社の境外末社になっています。鎮座地は、大阪メトロ天満橋駅から西へ徒歩で5分ほどの所です。ビルの谷間に鎮座する当社は、古くからこの地に祀られていましたが、令和2年より御大典奉祝記念事業として改築がすすめられ、この4月に竣工しました。一般参拝は4月23日から始まったばかりです。
坐摩神社行宮(御旅所・旧鎮座地)
■所在地 大阪市中央区石町2-2-15
■主祭神 豊磐間戸神
奇磐間戸神
■由緒 坐摩神社行宮(御旅所)は、摂津国一之宮「坐摩神社」の旧鎮座地で、神功皇后が新羅から帰還した折に、淀川南岸の大江、田蓑島(のちの渡辺の地)に奉祀されたのが始まりとされている。ここは、全国の渡辺・渡部等の姓の発祥の地となっている。
また、かつて熊野詣の陸路の出発点であった渡辺王子があった場所といわれている。
神使像
■奉献年 令和5年4月 (2023)
■石工 巽彫刻 綱川 潔
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
新しい拝殿の手前、円柱の基壇の上に白鷺の石造が安置されている。直立しているので背が高い。
白鷺像は本社の御祭神の神使と考えてよいだろう。御神紋も鷺丸で、基壇の柱にも彫られている。
神功皇后が新羅から帰還した折に、摂津の国、大江の岸の田蓑島の松の枝に白鷺の群がる所を選んで、坐摩神を奉斎されたという。
拝殿前の白鷺像は、愛知県岡崎市の「巽彫刻」の綱川潔氏の制作で、嘴の開閉で阿吽を表し、阿形は玉をくわえている。長身の立ち姿で、キリッとした目で互いに見合うように配置されている。凜々しさと神々しさを感じさせる神使像である。
神功皇后鎮座石
写真の鎮座石は、神功皇后がその上で休息したという巨石の名残で、かつては方五丈もあったという。この地の町名が「石町」というのは、この石に由来する。
天正年間に織田信長が本願寺勢力の石山城を攻めた際に紛失し、その後、元禄年間に弥兵衛町(現在の石町)で発見されたといわれている。
なお坐摩神社は、豊臣秀吉の大坂城築城の際に、この地から現在鎮座する中央区久太郎町に遷された。