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大阪市の神社と狛犬 ㉒住吉区 ①住吉大社(その12)~大海神社の狛犬~
大阪市住吉区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。住吉区は、大阪市の最南部に位置し、大和川を隔てた南は堺市になります。この辺りは、古代には「すみのえ」と呼ばれた海に面した地域で、海上安全の守護神として名高い住吉大社とともに栄えてきました。また、大阪と泉州・紀州を結ぶ紀州街道や熊野街道などの交通の要衝でもありました。
住吉区には由緒ある古い神社がいくつもありますが、まずは摂津国一之宮である住吉大社へお参りするところから始めたいと思います。大阪人にとっては「すみよっさん」と親しまれている神社です。今回は住吉大社の12回目(その12)になります。
住吉大社のすぐ前の道路には、阪堺線の「住吉鳥居前駅」があります。また、この道路を挟んで西側に南海本線「住吉大社駅」があり、交通の便に恵まれています。
住吉大社の狛犬については、すでにこのnoteに「住吉大社の狛犬」シリーズをマガジンにまとめて発表しています。今回は「大阪市の神社と狛犬」シリーズの中の一神社として紹介したいと思います。内容的には重なる部分が多いことをご理解ください。
住吉大社
■所在地 〒558-0045 大阪市住吉区住吉2-9-89
■主祭神 底筒男命、中筒男命、表筒男命、息長足姫命(神功皇后)
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住吉大社には10対を超える狛犬が安置されている。今回は、境内北側に鎮座する摂社・大海神社の狛犬(狛犬13)を紹介したい。狛犬は社殿の西側階段の下、鳥居前に安置されている。住吉大社の狛犬は、今回が最終回。
大海神社
住吉大社には、海の神住吉神と関係の深い神様を祀る摂社が四社ある。境内北側にある大海神社と志賀神社、そして境内南側にある船玉神社と若宮八幡宮である。
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このうち大海神社・志賀神社・船玉神社の三社は、その名前からもわかるように、海にかかわる神様が祀られている。
若宮八幡宮は八幡神(応神天皇)をお祀りしているが、応神天皇は第四本宮の祭神である神功皇后の御子であるから、やはり住吉大社の神と深い関わりがある。
中でも大海神社は筆頭の摂社で、『延喜式神名帳』にも記載されている式内社である。社殿は、江戸時代中期の宝永5年(1708)の造営の住吉造で、住吉大社本宮社殿よりも、約百年も古い。本殿の手前に渡殿、次いで幣殿が建てられており、海の方角の西に向いている。
ご祭神は、海幸山幸神話の海宮の竜王とその娘にあたる豊玉彦命と豊玉姫命。
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渡殿に通じる正面の扉には、住の江の松の向こうに帆船が浮かぶ住吉の海が描かれている。
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社殿前の境内の入口には、江戸時代前期に造営されたといわれる四脚門の西門があり、そこからは下りの階段になる。階段下の鳥居前には、文化年間の浪速狛犬が安置されている。ここが大海神社への参道入口になる。
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狛犬13
■奉献年 文化七庚午歳四月吉日(1810)
■作者 大坂 石工 西川屋五良兵衛
■材質 砂岩
■設置 摂社・大海神社鳥居前
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一対の狛犬は、鳥居前に向かい合って安置されている。前肢をやや前に踏み出し、背筋を伸ばして顔をやや正面側に向けている。前肢の付け根は筋肉が盛り上がり、たくましい姿である。阿形の下顎や、吽形の右耳が破損し、全体的に損傷が進んでいるが、全盛期の浪速狛犬の姿をしている。
狛犬と同石の第一台座の下には、さらに5段の台座が重ねられている。「奉獻」と刻まれた丸みを帯びた第三台座には、「文化七庚午歳四月吉日」という奉献年と「大坂 石工 西川屋五良兵衛」という石工銘が記されていた。
西川屋五良兵衛は大坂西横堀の石工で、寛政から文化年間にかけて活躍した。大阪市内では、ほかに東淀川区の中島惣社(寛政7年)、此花区の澪標住吉神社(寛政7年)、天王寺区の久保神社(文化13年)などで、西川屋五良兵衛の狛犬を見ることができる。
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この狛犬の奉献者は、台座に「備中惣舩仲」と彫られている。境内にたくさんある石灯籠は、全国各地の廻船問屋や海運関係の人たちが献じたものが多いが、この狛犬も備中の船仲間が奉納したものだった。
住吉大社の本殿は、すべて海のある西に向いているが、この大海神社も同様である。古代の大阪は、神社のすぐそばまで海が迫っていたのだろう。
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「大阪市の神社と狛犬 ㉒住吉区 ①住吉大社」は今回が最後です。さすがに由緒ある神社だけあって、狛犬もバラエティーに富み、その数も内容も大阪一です。住吉大社に参詣する機会がありましたら、ぜひ狛犬さんにもご挨拶くださいね。
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