アジア紀行~インドネシア・幻の巨大チョウを求めて⑪~
Good-by Pulau Seram!
5:40 寝苦しいベッドで目覚める。6日間のセラム島「Manusela Tour」も今日が最終日だ。「巨大チョウ」を求めてはるばるインドネシアのセラム島までやってきたが、熱帯の珍しいチョウを見ることはできたが、トリバネアゲハと出会うことはできなかった。
しかし、何も学術目的でやって来たわけではないので、これはこれで楽しく貴重な旅だったと思う。
そして今日はセラム島を離れてアンボン島へと戻る移動日だ。
「Manusela Tour」の本日の旅程表には、次のように書かれている。
同部屋の、ガイドのジャニスはまだ眠っている。昨夜はホテルの隣のナイトクラブに最後まで残ってお楽しみだったようだ。部屋の電灯はつけっぱなしだ。
身支度をすませると、運転手のアントンがもう迎えにやって来た。ジャニスはあわてて用意をしている。みんなで最後の朝食をかきこんで車に乗り込む。ホテルのマスターが、見送りをしてくれる。この人、どこかで見たことがあるとずっと思っていたが、往年の映画スター宝田明に似ている。そんなことを思っているうちに、車はアマハイ(Amahai)の港に到着した。
港には船を待つ人々が大勢いた。旅程表では「the awaiting motor boat」と書かれていたので、我々専用のモーターボートが待機しているのかと思ったが、それは甘かった。来たときと同じように、セラムとアンボンを行き来するフェリーに乗るようだ。
港で待つ大勢の中に、ジャニスの妹さんたちの姿もあった。マラリア治療のためにアンボン島の病院に向かうのだ。
フェリー出港は7:45。3時間余りの船旅である。セラム島に向かった5日前のワクワク感とはまったく違う。船は船室もデッキも人があふれている。隙間にバッグを置いて、その上に腰を下ろしてどうにか落ち着く。船の揺れが眠気を誘う。
再びアンボン島
我々の乗ったフェリーは、11時ちょうどにアンボン島のトゥレフ(Tulehu)に到着した。行きに送ってくれたヨンキーが、すでに港で待ってくれていた。みんな言葉少なく車に乗り込み、アンボン(Ambon)のホテルに向かう。
12時前にHotel Amboina にチェックイン。みんな疲れ果てている。ジャニスとはいったんお別れだ。
部屋でハガキを1枚書いた。セラムで書いて、まだ投函していなかった2枚も持って、郵便局に行く。太陽は真上にあり、とても暑いので、ホテルの人がベチャを呼んでくれる。爽やかな風が吹きすぎていく。しかし車が往来する道路を自転車のベチャが走るのは、ちょっとこわい。しかし片道Rp.1000 は安い。
郵便局を出たあと、骨董品屋のような店で古そうな茶碗を買った。
ベチャでホテルに戻ると、ロビーにジャニスがいる。午後4時にツーリスト・オフィスに行く約束だったが、今からでもOKというので、みんなで行くことにした。変更したフライトのチケットを受け取りに行くのだ。
日本で予約したチケットは、9日後の
AMBON 11AUG 09:40 ~ JAKARTA 11AUG 13:35
だったが、それを次のように変更した。
明日にはこのアンボンを発ち、バリ島に向かうことになる。チケット交換の手数料などで、150ドル請求される。予定外の出費だがやむを得ない。
明日は午後2時にホテルを出発できるように、ジャニスに車の手配を依頼する。
もう昼をすっかり回っているが、みんなまだ昼ご飯を食べていない。どこかの屋台で軽く食べようと3人で辺りを歩くが、適当なところが見つからない。結局ホテルまで戻ってくる。
パンを買って食べたあと、みんな部屋で眠ってしまう。
遅い夕食は、ホテル近くのレストラン「HALIM」で。シーフードとチャイニーズフードの店だ。値段は高いが、美味しい。ビールとコーラで乾杯。レストランを出たのは午後9時頃だった。3人で町をブラブラ散歩する。インドネシア語では「jalan jalan」という。「jalan」は「行く」とか「道」という意味で、それを重ねると「散歩」になる。
民芸品を置いている店先で、木彫りの人形に目がとまる。確かマルク州のタニンバル諸島(Tanimbar Islands)の彫刻だ。
これより前の話になるが、兵庫県川西市の雲雀丘にお住まいのYさんのお宅を訪ねたことがあった。Yさんはインドネシア通の方で、インドネシアの島々を巡り、各地の布や民芸品などを収集しておられた。そのお宅で見かけたのが、この人形だった。極端にスリムなその姿は、特に印象に残っていた。それが今、目の前にある。迷いなく店に入り、値段をたずねて手に入れた。2体でRp.20,000 は思いがけない安さだ。
午後10時、ホテルに戻る。旅に出て9日目が終わろうとしている。さすがに疲れがたまってきているのか、すぐに睡魔が襲ってくる。
明日は、いよいよバリ島だ。
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