アジア紀行~ミャンマー・インレー湖②~
「Hotel Amazing Nyaung Shwe」での朝食
6時起床。早起きだな~。
ホテルのレストランで朝食。メニューは昨夜フロントで尋ねられたので、「East&West Style」を選んでおいた。東洋と西洋の折衷スタイルとはどんなものだろうか?
まだ朝早いせいか、レストランにいるのは先客1人だけ、その人もほどなく朝食をすませて出て行ってしまった。
目玉焼きとソーセージとカリカリベーコンは「WEST」で、雲呑みたいなのが「EAST」かな。果物は?
まあ、普通のなんでもないブレックファストでした。
インレー湖
本日の予定は、インレー湖ボートツアーだ。ツアーと言っても、ツーリストで準備しているものではなく、ボート乗り場に行って、その場で契約する「一人ツアー」になる。
さて、ボートツアーに出る前に、「インレー湖」とはどんな湖なのか、少し書いておこう。
インレー湖は、ミャンマーのシャン州タウンジー県のシャン丘陵にある淡水湖。標高は約900m。インレー湖の「イン」は湖、「レー」は「4」の意味を持つ。伝説によると、インレー湖は4つの小さな湖だったが、湖の近くに住む鬼がこれらを繋いで大きな湖をつくったという。
南北22km、東西12kmの細長い湖で、周囲には多くの少数民族が暮らしている。特にこの湖を生活の場としているのは、インダー族という「湖の民」である。彼らは湖の上に建てた水上家屋で暮らし、浮島を作って野菜を育て、独特の方法で漁業をおこなう。これらについては、この日のツアーの先々で撮った写真を通じてお見せできると思う。
インレー湖ボートツアー
7時20分、ホテルを出てボート乗り場に向かう。
昨日の、車での長時間の移動のせいで、まだ腰が痛い。念のためコルセットを着用していく。
途中で、バイクに乗ったおじさんが声をかけてくる。
「I’m a boatman!」
ほとんど無視してボート乗り場まで歩く。乗り場に着くと、さっきのboatmanのおじさんがいて、また話しかけてきた。
値段を聞くと、昨日聞いたのと同じ18,000チャットというので、オーケーして、この人のボートで湖上ツアーに出ることに決める。
しかし、ボートを操縦するのは、このboatmanおじさんではなく、もっと若い青年だった。名前は、MOE WINというそうだ。
彼は乗る船を整備し、オイルを補給する。
8時ジャスト、いよいよインレー湖に向けてボート乗り場を出発。舳先の両側と船の後方に水しぶきを上げながら、ボートは運河を疾走する。
ここはまだ運河なので、左右の岸が見える。
横を走る船。こちらのボートもあのように水しぶきを上げて進んでいる。
やがて突然視界が大きく広がる。広大なインレー湖に出た!
遠くにインレー湖独特の漁法で魚を捕る漁師の船が見える。片足で船を巧みに操りながら漁をしている。網を打つ両手をフリーにするための絶妙のバランスに見惚れる。
ずっと昔のことだが、国立民族学博物館が発行する『季刊 民族学』で、「人と湖ービルマ、シャン州インレー湖の住民たち」という文章を読んだことがあった。そこに、足で船をこぎながら器用に網を使う写真が載っていた。
これが「湖の民」インダー族だ。それを今、目の前で見ているのだ。
船の櫂を両手で大きく振り上げて水面を打つ。驚いた魚を網の中に追い込んでいる。
船頭のモーウィン君に「そばに寄って」と頼んだが、漁の邪魔になるのでダメだと言われた。
それはもっともなことだろう。彼らは生活のための仕事をしているのだから、外から来た者は遠くから見ているだけでいいのだ。
カヤン族の人たち
ボートは湖から支流のようなところに入る。水上に看板が立っている。
WIN YADANAR KAYAN(PADAUNG) TRAIBE
カヤン族(パダウン族)の人がいるようだ。
カヤン族は東南アジアの山間部に暮らす山地民で、ミャンマーとタイ北部に居住する少数民族である。
この人たちの特徴は、女性が首に真鍮製の金の首輪を飾ることで、成長とともに首輪の数を増やし、そのため首が長くなっていくことだ。そのことから「首長族」などと呼ばれることがある。彼女たちの首がもとから長いわけではなく、輪が顎を押し上げ、鎖骨を押し下げる結果、首がどんどん長くなる。いや、長くなったように見えるのだ。
この年輩のお二人は、もう長くこの観光用の水上家屋におられて、有名だそうだ。彼女たちはカメラを向けても、とてもフレンドリーで、写真を撮られることにまったく抵抗がないようだ。
にこやかに笑って対応してくれるので、ほっとする。
首輪だけかと思っていたら、彼女たちは腕にも足にも飾りをつけていた。
室内にこの真鍮製の飾りの実物が展示してあったので、手で持ってみたが、とても重い。これを首と足にはめるのは、相当な負担が体にかかるはずだ。5歳くらいの子供のころから始めて、徐々に大きく重いものに替えていくそうだ。しかし、簡単に取り外しができるものとも思えない。
私には、女性の自由を奪う首枷・手枷・足枷のように思えてしまったが、カヤン族の彼女たちは、これを当然のことと受け止め、首が長く見えるほど裕福な男性と結婚ができるらしい。
このお二人の女性は始終おだやかで、観光客に土産物を売る店なのに、まったく押しつけがましくない。
室内では二人の若い女性が機織りの実演をしている。彼女たちの首にも、金の輪がはめられている。
室内は広くて、奥には、土産物や骨董品がたくさん並べられていた。記念に買って帰りたいという気持ちがわき上がって来るが、ここはぐっと我慢しておく。
外に出ると、物売りの船が寄って来た。
この辺りは、毎週金曜日には水上マーケットでにぎわうそうだ。
ここまでの湖上の冒険だけでもけっこう楽しめたが、インレー湖ボートツアーはまだ先が長い。それは次回に・・・。